<h1>装置の概要と種類</h1>
<h2>SPECTとPETの比較</h2>
<ol>
<li>PET装置は511keVの高エネルギー消滅放射線を使用しているのに対して低ガンマ線エネルギーを使用しているため、検査室遮蔽が簡易である。</li>
<li>SPECTは異なる核種による2核種同時収集が可能である。一方PETでは核種が異なっても同一の511keVの消滅放射線が放出されるため、核種を分別できない。</li>
<li>SPECTの空間分解能は15～20㎜なのに対して、PETは3～5㎜とPETのほうが空間分解能が優れている。</li>
</ol>
<h2>原理</h2>
<ol>
<li>収集機構<br>
空間的ボケを抑えるために、被写体とガンマカメラを可能な限り近づける。近接軌道や楕円軌道などを行うことで円軌道よりも空間分解能を高くして撮影をすることができる。</li>
<li>収集角度<br>
基本的に360度収集が行われる。サンプリング角度は5～6度であり、この最適なサンプリング角度は画素サイズで決定され、以下の関係式で表される。<br>
$S≧$$\frac{πD}{2a}$　Ｓ＝投影データ数　πＤ＝回転軌道の長さ　ａ＝画素サイズ</li>
<li>マトリクスサイズ<br>
最適なマトリクスサイズはシステム分解能の半値幅（FWHM）の$\frac{1}{3}$から$\frac{1}{4}$である。またマトリクスサイズが小さくなると、空間分解能は高くなるが、SN比とコントラストは低下する。</li>
<li>データ収集の種類<br>
連続法　<br>
カメラの回転を止めずに収集を行う。利点はカメラ移動によるタイムラグが少ない。欠点は投影データ枚数が少ないと回転によるボケを含んでしまう。<br>
断続法<br>
収集方向ごとに回転をストップさせて1フレームを収集して次の収集方向へ移動する。</li>
</ol>
<h2>アーチファクト</h2>
<ol>
<li>検出器に起因するアーチファクト</li>
</ol>
<ul>
<li>シンチレータの破損<br>
破損箇所に欠損像画みられる。シンチレータの破損は室温の急激な変化や交換時の衝撃で起こる可能性がある。</li>
<li>光電子増倍管の調整不足、破損<br>
破損箇所に欠損像画みられる。主にゲイン調節不足や破損が原因で欠損を生じる。なので定期的な保守点検が必要。</li>
<li>均一性の劣化<br>
均一性が劣化すると、その箇所に欠損像を生じる。心筋シンチグラフィのような画像では劣化箇所にカウントの低下がみられる。均一性の劣化はNaI(Tl)などのシンチレータ位置計算回路のバラツキなどに起因し、視野が不一致になる。なので均一性の保守点検が必要。また、視野の不均一は収集カウントの低下によっても生じ、それによりリングアーチファクトが生じる可能性がる。</li>
<li>回転中芯ズレ<br>
軸ズレ（offset）が大きくなるほど欠損が大きくなる。これはリングアーチファクトも原因にもなる。</li>
<li>リング状アーチファクト<br>
SPECT装置におけるリングアーチファクトの主な原因として均一性・回転中芯ズレ・空間直線性の調節不備が挙げられる。</li>
<li>エネルギー設定不良</li>
</ul>
<ol start="3">
<li>コリメータに起因するアーチファクト</li>
</ol>
<ul>
<li>コリメータのキズや破損<br>
コリメータの傷に一致してフラット像に欠損像が見られる。</li>
<li>コリメータの選択ミス<br>
低エネルギー用コリメータで高いエネルギーをコリメーションすると、隔壁通貨（ベネトレーション）による画質の低下がある。</li>
</ul>
<ol start="4">
<li>被検体によるアーチファクト</li>
</ol>
<ul>
<li>モーションアーチファクト</li>
<li>減弱によるアーチファクト<br>
被検体において放出される放射線は被検体との相互作用により減弱を受ける。これによりカメラに届く光子は減弱する。SPECTでは体内深部へ行くほど、また放射線のエネルギーが低いほど顕著になる。</li>
<li>周囲の異常集積による散乱線の影響<br>
撮影範囲外に放射線源は存在すると、散乱線等の影響により画像中の放射能分布が不正確になり、濃度ひずみやコントラスト分解能が低下し画像の劣化を招く。</li>
<li>目的臓器外によるアーチファクト<br>
目的臓器以外の高集積画像中に存在すると、実際の高集積部位より大きく抽出され正確な抽出が困難となる。これによる高集積はSPECT像においてストリークアーチファクトの原因となる。センチネルリンパ節・骨シンチで見られる。</li>
</ul>
<ol start="5">
<li>収集や処理によるアーチファクト</li>
</ol>
<ul>
<li>スターアーチファクト<br>
特にセンチネルリンパ節シンチなどで認められる。強い集積・高エネルギーガンマ線を使用すると、コリメータの隔離を貫通した光子により周囲6方向に放射状のアーチファクトが認められる。</li>
<li>トランケーションエラー<br>
被検体の一部が有効視野外から外れた場合に生じるアーチファクトで、視野外にはみ出した部分付近にカウントが集中しているような画像になる。SPECTCTではトランスミッションであるCTのFOVがエミッションに比べて小さいため、視野外に出た部分においてはトランケーションエラーが発生し補正を不正確にする。</li>
<li>ストリークアーチファクト<br>
FBPを利用した再構成で生じるSPECT特有のアーチファクトで再構成断面内に線を引いたような画像になる。画像再構成時にOS―EMなどの逐次近似法を用いると抑制できる。</li>
</ul>
<h2>画像再構成法</h2>
<ol>
<li>フィルタ補正逆投影法（FBP）</li>
</ol>
<ul>
<li>Ramp filter：最も単純な再構成フィルターで高周波雑音が多い。</li>
<li>Sheep Logan filter：高周波数成分減衰フィルターで最も使用される。</li>
<li>Ramaghandran filter：高周波成分を増強し、画像を先鋭化させることでボケを補正する。</li>
</ul>
<ol start="2">
<li>逐次近似法</li>
</ol>
<ul>
<li>ML‐EM法：定量性を底上げする方法。</li>
<li>OS‐EM法：ML‐EM法と比較して再構成時間が短く、アーチファクトを低減できる。</li>
</ul>
<h2>各種補正法</h2>
<ol>
<li>減衰補正</li>
</ol>
<ul>
<li>Chang：再構成画像に近似的な吸収補正を行う。後補正法と呼ばれる。</li>
<li>Sorenson：プロジェクション画像に近似的な吸収補正（減弱補正）を行う。前補正法と呼ばれる。</li>
</ul>
<ol start="2">
<li>散乱線補正<br>
コンプトン散乱を除去するのが目的で、画像収集時にエネルギーウィンドウを2～3個設定する。</li>
</ol>
<ul>
<li>TEW法：再構成前に補正する方法で、投影データを同時に3種類収集。</li>
</ul>
<h2>性能評価</h2>
<ol>
<li>総合均一性：線源は<sup>99ⅿ</sup>Tcの円柱状線源を使用。</li>
<li>総合空間分解能：SPECT再構成後の総合空間分解能測定には散乱体の有無で評価する。</li>
</ol>
<ul>
<li>散乱体あり<br>
使用線源は<sup>99ⅿ</sup>Tcと<sup>57</sup>Ｃｏを使用した線状線源で、FWHMFWTMの計算はそれぞれの線状線源のXY方向について放射線近似法によって求める。</li>
<li>散乱体なし<br>
使用線源は<sup>99ⅿ</sup>Tcと<sup>57</sup>Ｃｏを使用した点線源で、FWHMFWTMの計算は9つの点状像のXY方向について放射線近似法によって求める。</li>
<li>解析方法：ランプフィルターによる逆投影法</li>
</ul>
<ol start="3">
<li>回転中芯ズレ：サイノグラムによって評価</li>
</ol>


放射性同位体を用いた核医学検査で必要な知識や技術を習得するための科目です。臓器の機能情報を得られたり、定量的に評価を行うことができます。

核医学検査技術学

SPECT装置について

<h1>PET装置</h1>
<h2>装置の種類と概論</h2>
<p>PET（Positron Emission Tomography、ポジトロン断層撮影法）は、医療分野で広く利用される画像診断技術の一つであり、体内の代謝活動や生理機能を非侵襲的に観察することができるため、がんや脳疾患の診断、治療効果の評価において重要な役割を果たしている。</p>
<h3>PET装置のシンチレータについて</h3>
<p>シンチレータは放射線を吸収してそのエネルギーを光として放出する物質であり、この光はフォトマルチプライヤー管（PMT）や半導体検出器で検出され電気信号に変換されます。シンチレータの性能はPET装置の画像品質に直結するため、その選択は非常に重要になる。</p>
<h4>シンチレータの種類</h4>
<ol>
<li>BGO：無機シンチレータの一つ。</li>
</ol>
<ul>
<li>特性：高い吸収係数を持ち、高エネルギーのガンマ線を効率的に吸収する。</li>
<li>利点：高い密度と原子番号により、高感度の検出が可能。</li>
<li>欠点：発光速度が遅いため、高速の検出が必要な場合には適さない。</li>
</ul>
<ol start="2">
<li>LSO：BGOより優れた相対発光量を有する。</li>
</ol>
<ul>
<li>特性：高い発光効率と高速応答を兼ね備えている。</li>
<li>利点：高いエネルギー分解能と短い崩壊時間により、高精度な画像が得られる。</li>
<li>欠点：コストが高く、製造が難しい。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li>GSO</li>
</ol>
<ul>
<li>特性：中程度の発光効率と高速応答を持ちます。</li>
<li>利点：BGOよりも高速で、LSOよりも安価です。</li>
<li>欠点：エネルギー分解能がやや低い。</li>
</ul>
<ol start="4">
<li>NaI（Tl）：無機シンチレータの一つ。</li>
</ol>
<ul>
<li>特性：非常に高い発光効率を持ち、広範な用途に使用されている。</li>
<li>。点：コストが低く、製造が容易。</li>
<li>欠点：発光速度が遅く、PET装置にはあまり適していない。潮解性がある。</li>
</ul>
<h4>検出器特性</h4>
<ul>
<li>シンチレータ中で発光している光の減衰時間が短い検出器は最大計数率が高い。</li>
<li>検出器素子が小さいほど空間分解能は高い。</li>
<li>検出器が視野中心から遠いほど空間分解能は低下する。</li>
<li>リング径が大きくなると角度動揺という現象により空間分解能は低下する。</li>
<li>視野中心と比較して端の空間分解能は低下する。</li>
</ul>
<h2>動作原理とデータ収集</h2>
<p>PET装置の動作原理は、放射性同位元素の崩壊によって放出されるポジトロンが、電子と衝突して二つの消滅放射線が生成される。この消滅放射線は511Kevのエネルギーを持ち、核種によらず一定である。また、180度の方向に飛び出すため、同時計数回路により体内からのガンマ線発生位置を特定することができる。そのため、SPECTのようにコリメータを使用しない。</p>
<h4>データ収集の種類</h4>
<ul>
<li>2D収集<br>
セプタという体軸方向のコリメータを使用し、同時計数を一つのリング間のみで断層像を得る方法。感度は低いが定量性に優れた収集方法である。</li>
<li>3Ⅾ収集<br>
セプタを使用せずに複数のリングで同時計数を行うことで断層像を得る方法。2D収集と異なりセプタを使用しないため感度は向上する。</li>
</ul>
<h2>画像再構成</h2>
<ul>
<li>2D収集：FBP・ML‐EM法やOS‐EM法などの逐次近似法</li>
<li>3Ⅾ収集：3Dフーリエ変換法・逆投影法</li>
</ul>
<h2>補正法</h2>
<ul>
<li>プランクスキャン：外部線源を用いて減衰量を計測し、補正係数を算出する方法。</li>
<li>トランスミッションスキャン：外部線源やCTデータを用いて体内の減衰マップを作成し、これを基に補正を行う方法。</li>
<li>散乱同時係数補正：ガンマ線収集の際に偶然無関係の方向からの放射線が計測された場合に行われる補正法。</li>
</ul>
<h2>同時係数</h2>
<ul>
<li>真の同時計数：一つの消滅光子が二つの検出器で計測された場合の同時計数。この計数率は放射能に比例する。</li>
<li>偶発同時計数：二つの消滅光子が同時に検出器で計測された場合の同時計数。この計数率は放射能の2乗に比例する。また、偶発同時計数に対する補正法としてシングル計数法と遅延同時計数回路法などが挙げられる。</li>
<li>散乱同時計数：相互作用によるガンマ線の湾曲による同時計数。</li>
</ul>
<h2>性能評価項目一覧</h2>
<ol>
<li>計数率特性</li>
<li>絶対感度</li>
<li>空間分解能</li>
<li>画像濃度均一性</li>
<li>減弱・散乱補正精度</li>
<li>画像位置合わせ精度</li>
<li>計数損失および偶発同時計数補正精度</li>
</ol>


PET装置について

<h1>シングルフォトン放射性医薬品</h1>
<h2>特徴</h2>
<p>シングルフォトン放射性医薬品とは、特定の放射性同位元素を含む化合物であり、これを体内に投与することで体内の特定の部位から放出されるガンマ線や特性X線を検出し、画像化する技術です。この際使用される放射性医薬品はβ⁻線をなるべく放出しないものを使用する。β⁻線は体内からは検出されないため、被ばく増加の原因となっているためである。</p>
<h2>主な放射性同位元素</h2>
<p>シングルフォトン放射性医薬品で使用される主な放射性同位元素には以下のものがある。</p>
<ul>
<li>テクネチウム-99m (Tc-99m)：半減期が約6時間で、画像化に適したガンマ線を放出。</li>
<li>ヨウ素-123 (I-123)：甲状腺や脳の画像化に使用される。</li>
<li>ガリウム-67 (Ga-67)：感染症や腫瘍の診断に利用される。</li>
</ul>
<p>これらの放射性同位元素は、それぞれ特定の臓器や組織に特異的に集積する性質を持っており、その特性を利用して病変部位の検出や機能評価が行われる。</p>
<h1>ポジトロン放射性薬剤</h1>
<h2>特徴</h2>
<p>ポジトロン放射性薬剤は、ポジトロン（陽電子）を放出する放射性同位元素を含む薬剤です。体内に投与された放射性同位元素は、特定の臓器や組織に取り込まれ、そこで崩壊してポジトロンを放出します。ポジトロンはすぐに電子と衝突して消滅し、その際に発生する2つのガンマ線を検出することで、体内の画像を構築します。</p>
<h2>主な核種一覧</h2>
<p>PETで使用される主な核種は以下のものがある。</p>
<ul>
<li><sup>11</sup>C：半減期（20分）・化合物（<sup>11</sup>CＯ₂・<sup>11</sup>Cメチオニン）</li>
<li><sup>13</sup>N：半減期（10分）・化合物（<sup>13</sup>NＯ₃⁻・<sup>13</sup>NＨ₄⁺）</li>
<li><sup>15</sup>O：半減期（2分）・化合物（Ｈ₂<sup>15</sup>O）</li>
<li><sup>18</sup>Ｆ：半減期（110分）・化合物（<sup>18</sup>Ｆ⁻・<sup>18</sup>ＦＤＧ）</li>
</ul>
<p>これらの同位元素は院内サイクロトロンや薬剤合成装置によって作成される。</p>
<h1>インビトロ放射性医薬品</h1>
<h2>特徴</h2>
<p>インビトロ放射性薬品とは、体外での実験や分析に使用される放射性薬品を指す。これらの薬品は、生体内ではなく試験管やペトリ皿などの実験装置内で使用されるため、「インビトロ」（体外）という名称が付けられている。</p>
<h2>主な核種一覧</h2>
<ul>
<li><sup>3</sup>H：半減期（12年）</li>
<li><sup>14</sup>C：半減期（5730年）</li>
<li><sup>123</sup>I：半減期（60日）<br>
上記の核種のうち<sup>123</sup>Iが最もよく使用される。<sup>123</sup>Iは非常に高い感度を持つため、微量の物質を検出することができる。これにより、極めて低濃度のホルモンや薬物を正確に測定することができる。また、生物学的にも適合しやすいため、体内での安全性が高く体外での実験でも非常に有用。半減期も60日なため測定時に半減期補正を行う必要もない。</li>
</ul>
<h1>副作用の特徴</h1>
<ul>
<li>核医学で使用される放射性医薬品は含まれる放射性核種の原子数が非常に少なくかつ、CT撮影やMRIで投与される造影剤量と比較しても微量しか投与しないため、重篤な副作用の出現は極稀である。しかし、妊婦に対しては原則禁忌であるため注意が必要。</li>
<li>即時反応の一つに留置針挿入の際に血管迷走神経反射による症状が発生する場合がある。軽度症状として冷感・嘔吐等の症状があるが、重症になると意識消失やけいれん発作を引き起こす可能性がある。</li>
</ul>


シングルフォトン放射性医薬品について

<h1>ガンマカメラとは</h1>
<p>ガンマカメラは放射性同位元素が体内で発するガンマ線を検出し、それを画像として可視化する装置である。患者に投与された放射性同位元素は特定の臓器や組織に集まり、その場所からガンマ線が放出される。これを検出器で捉え、コンピュータ処理を行って画像を生成します。</p>
<h2>ガンマカメラの構成</h2>
<ol>
<li>コリメータ：ガンマ線の入射方向の決定及び散乱線除去</li>
<li>シンチレータ：ガンマ線を光に変換</li>
<li>ライトガイド：変換された光を光電子増倍管へ伝達</li>
<li>光電子増倍管：光を電気信号へ変換</li>
<li>プリアンプ：電気信号を増幅</li>
<li>位置演算機構：光電子増倍管からガンマ線入射位置を決定</li>
<li>波高分別器：ガンマ線エネルギーの弁別</li>
<li>エネルギー入射位置計算回路：特定のガンマ線から画像を作成</li>
</ol>
<h1>コリメータの種類と性能</h1>
<p>コリメータとは特定の方向からのガンマ線のみを通過させる装置である。臓器に集積している放射性同位元素を詳しく特定するために、ガンマ線の入射方向に指向性を持たせる必要があるためである。</p>
<h2>種類</h2>
<ul>
<li>パラレル：検出器と同一視野のコリメータ。</li>
<li>コンバージング：被写体を拡大するコリメータ。</li>
<li>ファンビーム：頭部用に使用されるコリメータ。（SPECT専用）</li>
<li>ダイバージング：小型カメラと併用して使用され、被写体を縮小しつつ視野を拡大して撮影するコリメータ。</li>
<li>ピンホール：甲状腺などの小さい被写体を高解像度で撮影するための拡大用コリメータ。ただし出力される画像は上下左右反転される。</li>
<li>バイラテラル：心臓撮影等に利用されるコリメータで、同時2方向を撮影することができる。</li>
<li>スラント：被写体を斜め方向から撮影する事ができる。（SPECT専用）</li>
</ul>
<h1>NaI（Tl）シンチレータ</h1>
<p>シンチレータはガンマ線を光に変換する特性を持つ。核医学で使用されるシンチレータにはヨウ化ナトリウムとタリウムを添加させることで性能を上げている。</p>
<h2>特性</h2>
<ul>
<li>潮解性があり、空気に触れないようにアルミ容器で封入。</li>
<li>封入しているアルミ容器は片面がガラス窓になっている。</li>
<li>3～4度の微弱な温度変化でひび割れが発生。</li>
<li>シンチレータを厚くすると感度は上がるが空間分解能は低くなる。</li>
<li>ガンマ線のエネルギーが高いほど検出効率は下がる。</li>
</ul>
<h1>ライトガイド</h1>
<p>シンチレータからの光を光電子増倍管へ伝える媒体。ガラスやアクリルが素材として採用されており、素材自体の高い透過性が求められる。</p>
<h2>特性</h2>
<ul>
<li>位置分解能や均一性を調節。</li>
<li>ライトガイドを薄くすると均一性が低下する。位置分解能は向上する。</li>
</ul>
<h1>光電子増倍管</h1>
<p>シンチレータの光を電気信号へと変換する装置。一つのシンチレータに対して数10本～100本ほどの光電子増倍管が配列されている。</p>
<h2>特性</h2>
<ul>
<li>調整不足は画像均一性の低下の原因となる。</li>
<li>出力変動は画像ゆがみ・空間分解能に影響する。</li>
<li>像倍率は10⁷程度。</li>
</ul>
<h1>位置演算機構</h1>
<p>光電子増倍管からガンマ線入射位置（発光位置）を決定し、以下の2種類に分けられる。</p>
<ol>
<li>抵抗マトリクス方式：ガンマ線入射位置に対応した信号を得る。</li>
<li>ディレイライン方式：遅延電線を利用したアナログ式演算機構。</li>
<li>フルデジタル方式：光電子増倍管の出力をそのままデジタル信号へ変換して信号を得る。</li>
</ol>
<h1>波高分析器</h1>
<p>ガンマ線のエネルギー弁別を行う。また、ウィンドウ幅の設定を行うことで散乱線の除去も行える。</p>
<h1>ガンマカメラの性能評価</h1>
<ul>
<li>固有感度均一性：点線源・UFOVマスク</li>
<li>固有空間分解能：点線源・鉛スリットファントム→点線源を鉛シールドに入れて使用。</li>
<li>固有空間直線性：点線源・鉛スリットファントム</li>
<li>固有エネルギー分解能：点線源・UFOVマスク</li>
<li>固有計数率特性：点線源（線源減衰法では銅板吸収を使用）</li>
<li>散乱体のある総合計数率特性：面線源（円盤状線源）・円形散乱体<br>
計数率特性の測定には放射能量を求める必要がある。この測定方法として　　　　　　　　線源減衰法が用いられる。</li>
<li>総合空間分解能：線線源（1㎜以下）</li>
<li>総合感度：面線源（平板状）</li>
<li>総合均一性：面線源（コリメータを使用した状態で測定してもガンマ線が均一に照射できないため面状のものを使用する。）</li>
<li>性能評価値：微分均一性＜積分均一性</li>
<li>性能試験項目：視野均一性・空間分解能・エネルギー分解能・遮蔽能力</li>
</ul>
<p>★方向依存性・回転中心ズレの項目はガンマカメラの性能評価項目には含まれない。</p>


ガンマカメラについて

<h1>脳血流シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>脳血流SPECTは蓄積型トレーサを用いた脳血流の画像化及びマイクロスフェアモデルやコンパートメントモデル、パトラックプロットを用いた脳血流量の定量解析が行われている。Diamox負荷による脳循環予備脳の評価が行え、手術前後における脳血流の回復程度が測定できる。</p>
<ul>
<li>Diamox：炭酸脱水素酵素阻害薬で強力な脳血管拡張作用を有する。脳血管反応性を評価するために用いられる。利尿作用あり。アセタゾラミド製で正常脳では局所脳血流量が50～80％に増加する。</li>
</ul>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ol>
<li><sup>123</sup>I‐IMP</li>
</ol>
<ul>
<li>静注された後一度肺に補足され、その後緩徐に放出されて血液中から血液脳関門（BBB）を通過して脳組織に摂取される。</li>
<li>初回循環率は90％と高く、静注後早期の脳内分布は血流分布をよく反映する。</li>
<li>静注後の脳内放射能は30分後～60分後程度まではほぼ一定を示す。これは脳で取り込みと洗い出しが平行で行われいるためである。</li>
<li>収集3時間後の画像は後期像と呼ばれ、血流分布だけでなく組織内蓄積が得られる。脳梗塞などの虚血性脳血管疾患における脳組織viabilityの評価に有効。</li>
</ul>
<ol start="2">
<li><sup>99m</sup>Tc‐HMPAO</li>
</ol>
<ul>
<li>初回循環率は70％とあまり高くはない。脳組織に取り込まれた後、血液中への逆拡散があるため脳血流と集積率の間の直線性は劣る。脳集積率は55％である。</li>
<li>静注早期では動脈血中の放射能が比較的高いため、高血流域の過小評価と低血流域の過大評価をきたす。</li>
<li>緊急検査に有用であり、超急性期脳梗塞での血流評価に適している。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99m</sup>Tc‐ECD</li>
</ol>
<ul>
<li>初回循環率は55％とHMPAOよりも低いが、脳組織からの逆拡散がHMPAOより少なく、血液中の安定性が高いことから脳集積率はHMPAOと同程度となる。</li>
</ul>
<p>以上3つの薬剤は脂溶性化合物なのでBBBを通過する。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>投与前から検査後も数日間は無機ヨウ素を1日20mg以上を投与し、甲状腺ヨウ素摂取能を抑制しておく。</p>
<h2>撮像プロトコル</h2>
<ol>
<li><sup>123</sup>I‐IMP<br>
静注後に脳内の放射能分布が安定する15分以降から撮像を開始し、20～30分間SPECT収集を行う。</li>
<li><sup>99m</sup>Tc‐HMPAO・ <sup>99m</sup>Tc‐ECD<br>
静注後5分以降に撮像開始し、20～30分間SPECT収集を行う。</li>
<li>Diamox負荷試験<br>
投与後10～20分で最大の血管拡張効果が表れ、1時間程度効果が持続する。よってIMPのSPECTでは静注7分前、<sup>99m</sup>Tc製剤SPECTでは15分前にDiamoxを15mg/kg静注する。</li>
</ol>
<h2>解析方法</h2>
<ol>
<li>マイクロスフェア法<br>
IMPによる5分持続動脈採決法で、採血が必要だが再現性に優れ、精度が高い。</li>
<li>ＡＲＧ法<br>
IMPの脳内挙動を2 compartment modelとして解析する方法。1回の動脈採決とSPECT収集から脳血流の算出が可能。</li>
<li>Patlak plot法<br>
<sup>99m</sup>Tc製剤による非採血脳血流定量法。胸部大動脈のROI設定と大脳半球のROI設定から時間放射能曲線を求めて解析を行う。</li>
</ol>
<h2>統計学的画像処理</h2>
<p>多数例の正常解剖から制作された正常データベースと患者画像を統計学的に比較して、脳血流の低下部位や増加部位を抽出することができる。解析ツールとして3D-sspとeZISがある。</p>


脳血流シンチグラフィ

<h1>神経受容体シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<ul>
<li>中枢神経ベンゾジアゼピンレセプタに結合する標識として<sup>123</sup>I‐2が開発された。</li>
<li>てんかんの焦点に限局して集積が低下していることから、外科的手術が考慮されている部分てんかん患者におけるてんかん焦点の診断に利用される。</li>
</ul>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ul>
<li>薬物動態としてイオマゼニル投与後、局所脳血流に従って分布し、10～20分で高い集積を示す。そして3時間後には中枢系ベンゾジアゼピン受容体に特異的結合を反映する。</li>
<li>脳以外の臓器には著名な集積は認められず、投与後24時間で93％が尿中排泄される。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>脳血流シンチど同様に甲状腺ブロックを行う。</p>
<h2>検査プロトコル</h2>
<p>安静・閉眼にてイオマゼニルを111～167MBq静注し、静注後10分から早期像、3時間後に後期像を撮像する。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ul>
<li>定量性を確保するために散乱・減弱補正法を用いる。画像再構成としてFBPやOS‐EMも用いられる。</li>
<li>低・中エネルギ用コリメータを使用</li>
</ul>
<h2>解析方法</h2>
<p>基本は脳血流画像の再構成と同し処理条件でよいが、部分容積効果によって神経受容体の低下領域が検出しにくくなる。低下領域の検出を底上げするための解析として3D-ssp法を利用する。</p>


神経受容体シンチグラフィ

<h1>脳脊髄腔シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>脳脊髄液減少症における髄液漏出を調べるために最も信頼性の高い検査法として使用されている。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ul>
<li>使用する薬剤は<sup>111</sup>In‐DTAPが利用される。</li>
<li>投与された<sup>111</sup>In‐DTAPは半減期5時間及び12時間の2相性の消失曲線に従い脳槽に移行する。</li>
<li>その後生理的な脳脊髄腔の流れに従って上行し、脳底槽・脳表面クモ膜下腔へと移行し上矢状静脈洞に吸収する。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>腰椎穿刺にて注入するための前処理に準ずる。通常穿刺前1時間は食事を避け穿刺後は安静にする。</p>
<h2>検査プロトコル</h2>
<ol>
<li>脳槽シンチグラフィ（水頭症・脳脊髄液）<br>
通常：3・6・24・48時間ごとに脊髄・頭部を撮像する。<br>
脳脊髄減少症：ガイドラインに準ずると腰椎穿刺にて注入後、0・1・3・6・24時間ごとに頭部～膀胱部まで全身像を撮像する。</li>
<li>髄液漏（耳孔・鼻腔）<br>
耳孔・鼻腔に予め脱脂綿などで栓をしておき、腹臥位・安静時にて注入する30分後に脱脂綿の放射能をウェルカウンタで計測する。</li>
</ol>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>脳脊髄腔シンチグラフィ<br>
腰椎穿刺し髄液の逆流を確認後、穿刺針から<sup>111</sup>In‐DTAPを18.5～37MBqを注入する。<br>
〈注入後〉</li>
</ol>
<ul>
<li>脳槽シンチグラフィ：頭部正面・後面・両側面をプラナー撮像する。</li>
<li>脊髄腔シンチグラフィ：頭部～腰部までのプラナー像・全身像を得る。<br>
プラナー撮像条件：256×256マトリックスで1方向5分撮影<br>
全身撮像条件：256×1024マトリックスで1mあたり7～10分撮影</li>
</ul>
<ol start="3">
<li>髄液漏<br>
脱脂綿を試験管内に挿入し、ウェル型シンチレータで測定。</li>
</ol>
<h2>解析方法</h2>
<p>RIクリアランスの計算：脳脊髄液腔残存RI率の計算1～4手順。</p>
<ol>
<li>注入直後0時間も撮像を基準に24時間までの画像を撮像。</li>
<li>1に対して物理的半減期による減弱補正を行う。</li>
<li>24時間後の全身像に対して関心領域を頭部・脊髄液腔に設定。</li>
<li>それぞれ補正画像の関心領域値を0時間の画像の関心領域値で除算。</li>
</ol>


脳脊髄腔シンチグラフィ

<h1>心筋血流シンチグラフィ（非観血的検査）</h1>
<h2>検査要点</h2>
<ul>
<li>心筋の血流分布を非観血的に観測できる検査法である。</li>
<li>局所心筋の血流が心筋へのトレーナー集積分布によって表されるため、冠動脈病変による血流低下部はトレーサ集積低下領域として表示される。</li>
<li>心臓に負荷をかけた状態での画像が得られるため、心筋虚血の診断にも有用であり、経皮的冠動脈形成術（ＰＣＩ）の決定やその効果判定にも用いられる。</li>
</ul>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>201</sup>ＴⅼＣⅼと<sup>99ｍ</sup>Ｔｃ標識製剤の2種が利用される。</p>
<ol>
<li><sup>201</sup>ＴⅼＣⅼ</li>
</ol>
<ul>
<li>全身の筋肉に分布するが筋活動の活発な心筋に多く分布し、虚血などの障割部位には分布しない。</li>
<li>初回冠動脈通過が70%ほどで、心筋では約5分でピークに達し、その後緩やかに減少する。これらのような洗い出しが存在するため虚血部位が再分布を起こす。負荷検査の場合1回の投与で負荷・再分布イメージの2つを得る。</li>
<li>Ｋ⁺と同様にATPナトリウムポンプを介し能動輸送される。</li>
</ul>
<hr>
<ul>
<li>半減期：73時間</li>
<li>主エネルギー：71・167Kev</li>
<li>壊変形式：EC壊変</li>
<li>集積機序：能動輸送</li>
<li>洗い出し：有り</li>
<li>心筋摂取率：3～5％</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99ｍ</sup>Ｔｃ標識製剤</li>
</ol>
<ul>
<li>MIBI・TFは投与後速やかに受動拡散によって心筋に取り込まれる。</li>
<li>集積機序に関しては心筋のミトコンドリアの膜電位や心筋細胞膜の機能が関与していると考えられる。（高濃度→低濃度へと自発的に移動する）。また、<sup>201</sup>ＴⅼＣⅼと同様に冠血流に比例して心筋へ集積する。</li>
<li><sup>201</sup>ＴⅼＣⅼよりエネルギーが高く半減期も短いため大量投与ができ、SPECT検査に適している。</li>
<li>肝臓及び脾臓に強い集積がみられるため心筋像はこれらが消失してから行う必要がある。</li>
</ul>
<hr>
<ul>
<li>半減期：6時間</li>
<li>主エネルギー：140Kev</li>
<li>壊変形式：Tl壊変</li>
<li>集積機序：受動拡散</li>
<li>洗い出し：無し</li>
<li>心筋摂取率：1～2%</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<ul>
<li><sup>201</sup>ＴⅼＣⅼは肝・胃の集積が心筋への散乱線として影響するので、それを抑えるため絶食状態での検査が望ましい。</li>
<li><sup>99ｍ</sup>Ｔｃ心筋製剤（MIBI・TF）では胆管系の排泄を促すため、<sup>201</sup>ＴⅼＣⅼとは反対に投与後食事や牛乳などを摂取する。</li>
</ul>
<h2>検査プロトコル</h2>
<p>大別して安静時と負荷時に分けられる。</p>
<ol>
<li><sup>201</sup>ＴⅼＣⅼ</li>
</ol>
<ul>
<li>安静時：15分待機してから撮像できる。</li>
<li>負荷時：投与後直後から撮像できる。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99ｍ</sup>Ｔｃ標識製剤</li>
</ol>
<ul>
<li>撮像開始までの洗い出しがほとんど見られないため時間的制約を受けないが、安静時・負荷時に関わらず60分待機してから撮像する。</li>
</ul>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>プラナー像の収集<br>
できるだけ唾液腺・甲状腺も含めて肺野全体が視野内に入るようにし、心筋画像の障害となる肝臓・胃は含まれないようにする。</li>
<li>SPECT像の収集・処理の流れ<br>
できる限り心筋撮影の障害となる両腕は挙上し、体動は十分心がける。ポジショニング時にカメラ視野の中心を患者体部のセンターを合わし、心臓をカメラの中央に設定しない。</li>
</ol>
<ul>
<li>処理の流れ</li>
</ul>
<ol>
<li>投影データ収集</li>
<li>前処理フィルター（ButterWorth・Hamming）</li>
<li>吸収補正・散乱補正（TEW法・WSW法）</li>
<li>画像再構成（FBP・逐次近似法）</li>
<li>軸設定（長軸像・短軸像・水平断像）</li>
<li>SPECT画像・定量画像（Bullseye）出力</li>
</ol>
<h2>負荷方法</h2>
<ol>
<li>運動負荷<br>
心電図と血圧をモニタしながらランニングマシン等で負荷をかける。目標心拍数に達するか、胸痛の自覚症状、心電図のSTが変化した時点でRIを静注する。</li>
<li>薬剤負荷<br>
冠血管拡張のための負荷薬剤としてアデノシンを投与する。アデノシン投与後から3分後に別でルートをとりRIを投与する。</li>
</ol>
<h2>解析方法</h2>
<ol>
<li>Washout Rate<br>
心筋からの洗い出しは<sup>201</sup>Ｔⅼの特徴であり、虚血の診断に特有である。正常値は50%前後で、40%以下を病変と疑う。</li>
<li>二次定量解析</li>
</ol>
<ul>
<li>Bullseye表示の事。多数枝の左室心筋のSPECT短軸断層像を原画像として作成する。</li>
<li>心尖部の断面を円中央に配置し、外側に同円心状に短軸断層像を順に並べ、最外側に心基部断面を配置。</li>
</ul>


心筋血流シンチグラフィ

<h1>心電図同期シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>心筋血流シンチグラフィと同じく心筋内のトレーサ集積分布により心筋の血流分布を観察できる。</p>
<ul>
<li>冠動脈病変の重症度評価</li>
<li>右室疾患の重症度評価</li>
<li>急性心筋梗塞のフォローアップ</li>
</ul>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p>心筋血流シンチグラフィと同じものを使用。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>基本は心筋血流シンチグラフィと同じだが、ポイントとしてプラナー画像によって心臓の大きさを把握することで精度の高い解析結果を得ることができる。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>心電図同期の方法<br>
心電図上のR波をトリガーとして収集タイミングを決定するためR波が検出できる部位に電極を装着。</li>
</ol>
<ul>
<li>R波をトリガーとして次のR波までの時間を複数の時相に分割して繰り返し収集する。</li>
<li>8～16分割しそれぞれの位相における画像を異なるファイルとして保存。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li>収集マトリックス<br>
成人の場合は64×64マトリックスとし、有効視野を考慮して拡大率を1.2～1.6程度に設定する。この際大きな拡大率を選択するとトランケーションエラーが起こるかもしれないため注意する。</li>
</ol>
<h2>解析方法</h2>
<p>QGS・P‐fastを使用</p>
<h2>解析データの表示方法</h2>
<ol>
<li>極座標表示<br>
gated SPECTの解析データから様々な指標を算出し2次元極座標表示を行っている。</li>
<li>壁運動3次元表示画像<br>
3次元表示は心筋短軸像から輪郭抽出したデータを3次元的に構築したもの。心筋内膜面はサーフェス（ソリッド）・心外膜面はグリッド（ワイヤー）で表示する。</li>
</ol>


心電図同期シンチグラフィ

<h1>心筋脂肪酸代謝シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>心筋症において早期診断・重症度・予後の判定に有効。特に不安定狭心症においては安静時画像のみで障害心筋の検出が可能。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>123</sup>I‐BMIPPが用いられる。</p>
<ul>
<li>投与早期から主に心臓や肝臓に集積。</li>
<li>心筋への集積率は5％と<sup>201</sup>TlClに比べて高い。</li>
<li>肝臓への集積は投与後10分以内に最大となり緩やかに減少する。投与後1.5時間では投与量の10％が肝臓に集積し、心筋よりも速やかに減少する。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p><sup>123</sup>I‐BMIPPは脂溶性で血中の影響を受けるため3時間以上の絶食が必要である。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>主にSPECT主体の検査を行っている。投与は111MBqを静注し、生理食塩水20mlを続けて静注し、低中エネルギーコリメータを用いて撮像。</p>
<ul>
<li>プラナー像の撮影</li>
<li>SPECT収集</li>
<li>2核種同時収集（<sup>123</sup>I‐BMIPPと<sup>201</sup>TlClの同時収集）</li>
<li>心電図同期SPECT<br>
等で撮像を行っている。</li>
</ul>
<h2>解析方法</h2>
<p>SPECTによるBulls eye mapを作成した定量解析を行う。</p>


心筋脂肪酸代謝シンチグラフィ

<h1>心プールシンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>主に心機能計測に用いられる。</p>
<ul>
<li>ファーストパス法</li>
<li>マルチゲート法（平衡時法）　　　　　<br>
以上2種類の方法があり、特にファーストパス法は右心機能を非観血的に計測できる数少ない検査方法。</li>
</ul>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ul>
<li>ファーストパス法<br>
<sup>99ｍ</sup>Ｔｃ標識製剤なら種類によらず用いる事ができる。</li>
<li>マルチゲート法<br>
<sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐HSA（ヒト血清アルブミン）・<sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐RBC（赤血球）を用いる。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>特にないが、検査後は排泄を促進するため投与後に食事や牛乳などを摂取してもらう。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ul>
<li>ファーストパス法<br>
右手を挙上しカメラをRAO30度にセットし、1フレーム50msecでダイナミック撮影を行う。</li>
<li>マルチゲート法<br>
<sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐HSA・<sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐RBCで血液プール像を撮影。</li>
</ul>
<ol>
<li><sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐HSA<br>
ファーストパス後全身に均等にトレーサが分布するのを待ち、右室と左室が分離する方向で撮影する。一般にはLAO40度。</li>
<li><sup>99ｍ</sup>Ｔⅽ‐RBC<br>
ピロリン酸を静注し30分後にMo‐Tcジェネレータから溶出した<sup>99ｍ</sup>ＴⅽO⁴⁻にてファーストパスを行い撮像する。</li>
</ol>


心プールシンチグラフィ

<h1>心筋交感神経シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>心筋への<sup>123</sup>I‐MIBGの良好な集積が認められる検査である。よって障害心筋では交感神経機能が脱落した箇所では<sup>123</sup>I‐MIBGは集積しない。パーキンソン病やレビー小体病などに有効であり、特にパーキンソン病では初期から心臓への集積が高確率で低下する。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>123</sup>I‐MIBGが用いられ、心筋のノルエピネフリンと同じように交感神経終終に集積する。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p><sup>123</sup>I‐MIBGを111MBqを静注し、生理食塩水20mlを続けて静注。低エネルギーコリメータを用いて撮像。心筋脂肪酸代謝と同じ集積方法がある。</p>


心筋交感神経シンチグラフィ

<h1>肺血流シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>肺内の血流分布を観察できる検査法。体内の影響は検査画像に影響するため<sup>99ｍ</sup>Ｔｃ‐MAA投与時ならびに収集時には考慮する必要あり。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99ｍ</sup>Ｔｃ‐MAA（大凝集ヒト血清アルブミン）が使用される。</p>
<ol>
<li>放射性微粒子（粒子径10～50μm）を静注。</li>
<li>この微粒子を肺毛細血管に塞栓させる（全体の0.2%程度）。</li>
<li>48時間後には90％が尿中排泄される。</li>
</ol>
<h2>前処理</h2>
<p>なし。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p><sup>99ｍ</sup>Ｔｃ‐MAA111～185MBqを仰臥位安静状態で静注し、LEHR型またはLEGP型コリメータを用いて撮像を行う。しかし肺高血圧の評価には座位にて投与を行う。投与から2分後ほどでスタティック収集を行う。</p>
<ul>
<li>スタティック収集<br>
撮像方向を前面・後面・左右側面・左右後斜位（60度）の6方向を座位・臥位にて収集を行う方法。</li>
</ul>
<h2>処理方法</h2>
<ul>
<li>前処理フィルタ：Butterworth Filter</li>
<li>再構成フィルタ：Ramp Filter</li>
<li>処理方法：FBP</li>
</ul>
<h2>解析方法</h2>
<ol>
<li>左右肺野の血流分布比較<br>
スタティック前面像および後面像の肺野にROIを設定し、左右肺野のカウント数の違いを比較する。</li>
<li>左右シャント率の定量<br>
全身カウント（W）と肺野カウント（Ｃ）から測定。正常範囲値は15%以下。<br>
$シャント率＝$$\frac{W－C}{W}$</li>
</ol>


肺血流シンチグラフィ

<h1>肺換気シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>局所肺機能を画像化し観察できる観察法。肺塞栓症や肺動脈塞栓の精査に有用。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ol>
<li><sup>133</sup>Xeガス<br>
半減期が長いの生かして1回吸入相・平衡相・洗い出し相の3相から診断を行う。</li>
</ol>
<ul>
<li>半減期：5.3日</li>
<li>SPECT収集：困難</li>
<li>繰り返し検査：不適</li>
<li>空気汚染：多い</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>81ｍ</sup>Krガス<br>
<sup>81</sup>Rb‐<sup>81ⅿ</sup>Krジェネレータ抽出で平衡相のみで診断。</li>
</ol>
<ul>
<li>半減期：13秒</li>
<li>SPECT収集：可能</li>
<li>繰り返し検査：適</li>
<li>空気汚染：少ない</li>
</ul>
<ol start="5">
<li><sup>99ｍ</sup>Tcガス</li>
</ol>
<ul>
<li>半減期：6時間</li>
<li>SPECT収集：最適可能</li>
<li>繰り返し検査：不可能</li>
<li>空気汚染：少しあり</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>なし</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>ガスを必要な時間吸入しながら肺シンチグラムを多方向から収集する。その際用いるガスに応じてコリメータを変換する必要がある。</p>
<ul>
<li><sup>133</sup>Xeガス：LEHR型・LEGR型</li>
<li><sup>81ｍ</sup>Krガス：MEGP型</li>
</ul>


肺換気シンチグラフィ

<h1>甲状腺シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>甲状腺の局所機能の画像化。薬剤の分布から位置・形態・内部構造を知ることができる。亜急性甲状腺炎・甲状腺腫・Graves病などに有用である。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ol>
<li>Na<sup>123</sup>I（ヨードカプセル）</li>
</ol>
<ul>
<li>3.7～7.4MBqを経口投与する。</li>
<li>投与後3時間で捕獲能、24時間でホルモン合成能が評価できる。</li>
<li>24時間で投与した薬剤の10～35%（正常値）が甲状腺に集積する。</li>
<li>放射性ヨードは胎盤を通過するため妊婦に対しては禁忌である。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99ｍ</sup>TcO⁴⁻</li>
</ol>
<ul>
<li>74～185MBqを静注する。</li>
<li>投与後30分で0.4～3%が甲状腺に集積する。また唾液腺にも数%集積する。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>1週間以上のヨードを多く含む食品を中止する。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>ポジショニング時に肩枕を入れることで頸部を進展させ、甲状腺とガンマカメラの距離を均一化させることができる。</p>
<ol>
<li>Na<sup>123</sup>I</li>
</ol>
<ul>
<li>投与後3～6時間で撮像開始する。</li>
<li>カプセル投与で胃で分解されてから甲状腺に取り込まれるため撮像まで時間がかかる。</li>
<li>摂取率検査併用の場合は24時間後も撮像する。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99ｍ</sup>TcO⁴⁻</li>
</ol>
<ul>
<li>投与後20～30分で撮像開始する。</li>
<li>静注するため撮像時間は短い。</li>
</ul>


甲状腺シンチグラフィ

<h1>副甲状腺シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>副甲状腺の機能を評価するために使用される画像診断法。副甲状腺機能亢進症や副甲状腺腫瘍の診断において非常に有用である。特に異所性副甲状腺腺腫において機能亢進部で薬剤の集積が維持される特性を持つ。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99ｍ</sup>Tc‐MIBIを使用する。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>1週間のヨード制限を行う。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>ダブルフェーズ法<br>
<sup>99ｍ</sup>Tc‐MIBI投与後5～15分の早期と2～3時間後の後期に収集を行う。甲状腺は3時間でwash outするため甲状腺のみ集積が減る。</li>
<li>サブトラクション法<br>
甲状腺・副甲状腺の集積情報から甲状腺の情報をサブトラクションすることで副甲状腺のみの集積情報を得る。</li>
</ol>
<ul>
<li><sup>201</sup>TⅼＣⅼ／<sup>99ｍ</sup>TcＯ⁴⁻法<br>
<sup>201</sup>TⅼＣⅼの投与後5～10分後に甲状腺・副甲状腺の収集を行い、その後<sup>99ｍ</sup>TcＯ⁴⁻を投与し甲状腺のみの画像を撮影し、サブトラクションを行う。</li>
</ul>


副甲状腺シンチグラフィ

<h1>骨シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>対象疾患（転移性及び原発性骨腫瘍、代謝性・炎症性骨疾患、骨折）などの疾患の診断を目的として検査が行われる。乳がん・前立腺がん・肺がん等は骨転移を生じやすく、ガンマカメラを用いた全身撮影を行うことで機能診断の評価が早期に行える。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐MDP・<sup>99m</sup>Tc‐HMDPを使用する。</p>
<ul>
<li>HMDP・MDPは骨を構成するハイドロキシアパタ中のリン酸基と類似しているため同部位に化学吸着することで診断できる。</li>
<li>投与から2～3時間で40～50％程度が集積（造骨が多いところに集積しやすい）</li>
<li>残りの50％は尿中排泄する。なので骨シンチ中は腎臓などの尿路系も描出されてしまう。</li>
<li>尿路系の描出によってハレーションが生じる。薬品が高濃度に集積するとCRT上で高輝度となり集積部位周辺で画像がにじむ現象。</li>
<li>ハレーション対策として撮影前に尿を出しておく。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>なし。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ul>
<li><sup>99m</sup>Tc‐MDP・<sup>99m</sup>Tc‐HMDPを740MBq投与。</li>
<li>投与から2～3時間後全身像撮影。この際多方向撮影を行うことで解剖学的な骨の重なりを分離することができる。</li>
<li>追加撮影として病変部位や骨の重なる部位にフォーカスしてSPOT像かスタティック像を行う。</li>
</ul>


骨シンチグラフィ

<h1>副腎皮質シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>副腎皮質の機能を評価するために行われる。クッシング症候群や原発性アルドステロン症の診断に有用である。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>123</sup>I‐アドステロールを使用する</p>
<ul>
<li>静注する際は2倍以上に希釈してから行う。</li>
<li>重大な副作用としてショックやアナフィラキシー症状が現れるため投与時の観察は十分に行う。</li>
<li>静注から3～4日後に尿中排泄（糞便排泄）が行われる。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>投与前では甲状腺被ばくを防止するため1週間前から甲状腺ブロックを行う。撮影前では<sup>123</sup>I‐アドステロールを除去するため前日に下剤を経口してもらう。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>投与後6～7日でプラナー像・SPECT収集を行う。エネルギーピークウィンドウが364Kevと高値なため、コリメータは高エネルギーコリメータを使用して処理する。</p>
<hr>
<h1>副腎髄質シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>副腎髄質の機能を評価するために行われる。褐色細胞腫や神経芽腫、副腎髄質機能亢進症の診断に有用である。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>123</sup>I‐MIBGが使用される。</p>
<ul>
<li>特に神経芽腫の診断に用いられる。</li>
<li>小児で最大400MBqを静注できる。</li>
<li>投与後24時間後で66%が尿中排泄される。<br>
現在は使用されていないが<sup>131</sup>I‐MIBGも使用されている。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>投与前では甲状腺被ばくを防止するため適当なヨード剤を投与する。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>収集時に使用するコリメータは高エネルギーもしくは中エネルギー用コリメータを使用し、副腎部を背側より撮像する。</p>
<ol>
<li><sup>123</sup>I‐MIBG<br>
投与後6時間後および24時間後にWholebody SPECTを行う。</li>
<li><sup>131</sup>I‐MIBG<br>
投与後2日後にWholebody SPECTを行う。</li>
</ol>


副腎シンチグラフィ

<h1>ガリウムシンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>悪性腫瘍や炎症性病変の診断によって用いられている。現在では<sup>18</sup>F‐FDPによるPET腫瘍イメージングが普及している。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>67</sup>Gaクエン酸塩を使用している。93・185・300keVの3つのエネルギーを使用。</p>
<ul>
<li>生理的集積：肝臓・骨・骨髄・軟部組織・鼻咽頭・唾液腺・大腸</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>投与後に行う。<sup>67</sup>Gaクエン酸塩の多くは腸管からは排泄され、腹部・骨盤部の集積が診断の大きな妨げとなるため、収集前日の下剤投与が重要となる。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p><sup>67</sup>Gaクエン酸塩を74～111MBq静注し前処置を行う。そして48・72時間後に全身SPECT撮像を行う。</p>


ガリウムシンチグラフィ

<h1>肝脾シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>肝実質中のクッパ―細胞が静注された放射性医薬品の80％を貪食し、残りの20％は脾臓や骨髄に取り込まれる。しかしがん細胞等の異常細胞ではこの機能を有さない。よって貪食能を肝機能の指標の一つとし、肝臓への放射性薬品の取り込み状態を評価することができる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐スズコロイド・<sup>99m</sup>Tc‐フィチン酸が使用される。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>形態画像のみなら必要ないが、定量検査を行う場合は肝血流量増加のため前食禁としたほうが良い。ただし脾臓の場合は必要ない。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>薬品を111～185MBq投与し、20分間のダイナミック収集を行う。その後位置の再確認を行った上で16分間のSPECT収集を行う。</p>
<ul>
<li>ダイナミック収集では心臓～肝臓まで入る位置でポジショニング。</li>
<li>SPECT収集では脾臓が入る位置でポジショニング。</li>
<li>高分解能型低エネルギーコリメータを使用する。</li>
</ul>


肝脾シンチグラフィ

<h1>肝受容体シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>正常幹細胞表面にはアシアロ糖蛋白受容体（ASGP‐R）がある。このASGP‐Rに放射性薬品が結合することで正常細胞へと取り込まれる。この検査ではビリルビン血症をはじめとする様々な肝機能予備能を定量評価することができる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐GSAが使用される。容量1mlの液体がバイアル封入されており、成人ではこの全量をボーラス注射する。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>肝血流量の増加を防ぐため検査の6時間前は絶食とする。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>形態画像だけでなく定量値を得ることが主目的のためダイナミック収集を必ず行う。薬品を185MBq投与し、20分間のダイナミック収集を行う。その後位置の再確認を行った上で16分間のSPECT収集を行う。</p>
<ul>
<li>ダイナミック収集では心臓～肝臓まで入る位置でポジショニング。</li>
<li>SPECT収集では脾臓が入る位置でポジショニング。</li>
<li>高分解能型低エネルギーコリメータを使用する。</li>
</ul>
<h2>処理方法</h2>
<ul>
<li>ダイナミックデータは生データのままTACを作成する。</li>
<li>SPECTはOS‐EMを主に使用している。</li>
<li>解析はTACによって定量解析が行われている。</li>
<li>HH₁₅・LHL₁₅<br>
心臓部と肝臓にROIを設定しそれぞれのTACを作成する。心臓部のTACの3分をH₃、15分をH₁₅とする。また、肝臓部のTACの15分のカウントをL₁₅とすると以下の式で表すことがきる。<br>
　* $HH₁₅＝$$\frac{H₁₅}{H₃}$　　　　　 正常値：0.5～0.6<br>
　* $LHL₁₅＝$$\frac{L₁₅}{H₁₅＋L₁₅}$　　正常値：0.91～0.96<br>
　* 肝機能が悪ければHH₁₅は増加し、LHL₁₅は減少する。</li>
</ul>


肝受容体シンチグラフ

<h1>肝胆道シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>生理的な動態がビリルビンに類似した放射性医薬品を使用する。静注後は血中より速やかに肝細胞に取り込まれ、細胆管→肝内胆管→胆嚢→細胆管を経由してファーター乳頭が十二指腸へ排泄される。この経路によって移動する状態を動態検査によって追うことが本検査の目的となる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐PMTが唯一の胆道専用医薬品であり、185MBq/2mlがバイアル封入されている。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>検査前6～8時間程度絶食させる。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>60分法と90分法に分けられる。</p>
<ul>
<li>60分法：ダイナミック収集を60分行う。</li>
<li>90分法：ダイナミック収集を90分行った後、胆嚢収縮剤を投与する。</li>
<li>汎用型低エネルギーコリメータを使用する（解像度より感度優先）</li>
</ul>
<h2>処理方法</h2>
<p>心臓・肝実質（肝内胆管、胆嚢、</p>


肝胆道シンチグラフィ

<h1>消化管出血シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>血管造影では見つけることのできない微量出血を検出することができる。<br>
異所性胃粘膜などの出血に対して有用である。</p>
<h2>医薬品の特徴</h2>
<p>投与後、薬品はずっと血中にいており細胞には取り込まれないため出血部位を見つけることができる。</p>
<ul>
<li><sup>99m</sup>Tc‐RBC（ピロリン酸キット）</li>
<li><sup>99m</sup>Tc‐HSA（アルブミンキット）<br>
先にピロリン酸を静注し、投与20～30分後に<sup>99m</sup>TcO⁴⁻を740MBq静注。<br>
ピロリン酸と赤血球が結合した状態になり、そこに<sup>99m</sup>TcO⁴⁻が結合することで体内で<sup>99m</sup>Tc‐RBCとなる。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>なし。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>ダイナミック収集は必要に応じて行うが、この場合はポジショニングが完了してからルートキープをして投与と同時に検査を開始する。プラナー像やスペクトルの場合はあらかじめ静脈より投与する。</p>
<ul>
<li>ダイナミック収集<br>
3sec/frame×40frameで2分間収集。<br>
マトリックスは128×128。続けてプラナー像を取得するときは512×512。</li>
<li>プラナー収集<br>
静脈投与5分後程度の画像を初期画像とする。</li>
<li>SPECT<br>
出血が確認され、詳細な位置関係を把握したい場所に有用。</li>
</ul>


消化管出血シンチグラフィ

<h1>唾液腺シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>唾液腺は主に耳下腺・顎下腺・舌下腺からなり、これらの形態診断のほか機能診断を行うことができる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>TcO⁴⁻が使用される。しかし描出されるのは耳下腺と顎下腺のみ。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>なし。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>ダイナミック収集とプラナー像による形態画像の両方を収集する。機能検査としてレモン負荷などの酸刺激を行い排泄能を調べる。</p>


唾液腺シンチグラフィ

<h1>腎静態シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>腎接種率を用いた定量的分腎機能評価に用いられる。腎奇形や腎嚢胞・癌の評価に有用である。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐DMSAが使用されている。</p>
<ul>
<li>1回の循環腎抽出率は4～6％と低く経時的な腎への集積は緩除である。</li>
<li>血中投与後5～6時間まで徐々に集積を続け、尿中排泄は2時間後で8～17％と少なくなる。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>脱水状態では肝臓へ集積してしまう恐れがあるためその点だけ注意する必要がある。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>薬品を148～185MBq投与後2～3時間後に撮影を開始する。</p>
<ul>
<li>収集方向は仰臥位で後面像、両面斜位像（30～40度）＋SPECT像。</li>
<li>低エネルギー高分解能コリメータ（LEHR）かファンビームコリメータを使用</li>
</ul>
<hr>
<h1>腎動態シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>分腎機能評価や治療後の経過観察や腎移植の機能評価に用いられる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐DTPA・<sup>99m</sup>Tc‐MAG³が使用される。</p>
<ol>
<li><sup>99m</sup>Tc‐DTPA</li>
</ol>
<ul>
<li>1回循環率が20％で、そのほとんどが腎に摂取される。</li>
<li>摂取後は糸球体より尿中にろ過されるが、尿細管での再吸収がないため理想的なGFRmakerといえる。</li>
</ul>
<ol start="3">
<li><sup>99m</sup>Tc‐MAG³</li>
</ol>
<ul>
<li>1回循環での抽出率は60％前後で血漿蛋白との結合が90％と高いためGFRが5％と少ないため、ERPF（有効腎血漿流量）の定量評価に使用される。</li>
<li>DTPAと比較すると腎機能低下症例において有効な腎抽出と尿中排泄の観察が可能である。</li>
</ul>
<h2>前処理</h2>
<p>検査前の排尿と検査開始30～60分前に200～300mlの水分負荷を行う。</p>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>まずはじめに薬剤の入った注射器のカウントを測定を行っておく。</li>
<li>体内に薬品を投与し、30分間のダイナミック収集を行う。</li>
<li>残りの注射器のカウントを測定しておく。<br>
1のカウント値から3のカウント値を引くことで薬剤の接種率を計ることができる。これは主にGFRやERPFで用いられる方法である。</li>
</ol>
<ul>
<li>コリメータはLEHRやLEGPを使用する。</li>
<li>拡大収集を行う際は1.5～2倍で収集。</li>
<li>機能相もしくは排泄相の収集は256×256で行う。</li>
</ul>
<h2>解析方法</h2>
<p>腎実質像にROIを設定した後、バックグラウンドを減算した値から作成したレノグラムを作成する。</p>


泌尿器シンチグラフィ

<h1>センチネルリンパ節シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>センチネルリンパ節とは腫瘍からリンパ流に入った癌細胞が最初に到達するリンパ節であり、領域リンパ節の中で初めに転移が生じるリンパ節である。このリンパ節を同定することで領域リンパ節全体の転移診断が可能になる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐スズコロイド・<sup>99m</sup>Tc‐フィチン酸を使用している。</p>
<ul>
<li>腫瘍一つあたり37～74MBqを目安に投与する。</li>
<li>静注ではなく皮下注もしくは皮内注する。</li>
<li>投与の際に1/50の確率で腫瘍じゃなく血管内にRIが入ることがある。<sup>99m</sup>Tc‐スズコロイドだと肝臓にも集積してしまうため肝臓に集積したRIのカウントも写ってしまう。</li>
</ul>
<h2>収集方法</h2>
<ol>
<li>色素を腫瘍に注入する。</li>
<li>最初に注入した色素が流れ始めた箇所がセンチネルリンパ節。これは手術中に観察する必要がある。</li>
<li>色素される前にRIを腫瘍に投与。</li>
<li>ガンマカメラで撮影。</li>
<li>カウントが見られるところをセンチネルリンパ節として同定完了。</li>
</ol>
<hr>
<h1>リンパ節シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>悪性腫瘍や悪性リンパ腫・浸潤の程度評価に用いられる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐スズコロイド・<sup>99m</sup>Tc‐フィチン酸・<sup>99m</sup>Tc標識ヒト血清アルブミン（HSA）を使用する。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>薬品を皮下・皮内注射することでリンパ節にといこませて収集を行う。この際、液量は0.5ml以下にする。</p>
<hr>
<h1>骨髄シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>全身の骨髄分布を検出し画像化する検査法。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<ol>
<li><sup>111</sup>In‐chloride<br>
造血骨髄の標識に用いられる。投与すると血清ランスフェリンと結合し、鉄イオンに類似した血中動態を示す。幼若赤血球に取り込まれるため造血骨髄が評価できる。</li>
<li><sup>99m</sup>Tc標識コロイド<br>
骨髄網内系を撮像に用いられる。</li>
</ol>
<h2>前処理</h2>
<p>なし。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>薬品を74MBq投与し48時間後に撮影する。全身の骨髄分布を撮影するために2検出器型シンチカメラが望ましい。コリメータは中エネルギーコリメータを使用する。</p>
<hr>
<h1>下肢静脈シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>深部静脈の狭窄や閉塞及び側副血行路の描出ができる。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐MAAが使用される。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>背足静脈から投与するため足を温めておくのがよい。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>下肢から胸部にかけてホールボディ撮影を行う。</p>


リンパ・抹消系シンチグラフィ

<h1>蛋白漏出シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>血漿蛋白であるアルブミンが腸管壁から腸管内に異常漏出する疾患であり、主に低蛋白血症を主訴として検査が依頼される。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐HSAD・HSA・RBCを使用する。<br>
これらは血漿蛋白非拡散性を有する。血管外へ漏出した行き場を失った薬剤を外から捉える。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>主にプラナー像を経時撮影する。（漏出が認められた時点で撮影を開始する）</p>
<hr>
<h1>メッケル憩室シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>メッケル憩室とは胎児期の卵黄腸管の遺物であり、回腸部に存在することがある。これを検出するのが目的の検査である。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>TcO⁴⁻が使用される。</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>成人では370MBq、小児では10～20MBqを投与し、ダイナミック収集およびSPECT収集を行う。</p>
<hr>
<h1>異所性胃粘膜シンチグラフィ</h1>
<h2>検査要点</h2>
<p>メッケル憩室などの先天性奇形について検査を行う。</p>
<h2>薬品の特徴</h2>
<p><sup>99m</sup>Tc‐pertechnateを使用する。<br>
胃の粘膜生産細胞が血中のCL⁻等の陰イオンを取り込んで分泌するのと同様の機序と考えられている。</p>
<h2>前処理</h2>
<p>バルーンカテーテルを留置する。（持続導尿が目的）</p>
<h2>収集方法</h2>
<p>主にSPECT収集を行う。その間に異常集積があれば収集を中断してプラナー像を撮影する。</p>


その他シンチグラフィ

放射性物質の性質や化学反応についてを学ぶ科目です。

放射線化学

診療放射線技師はさまざまな機器を取り扱って業務を行います。それらの機器についての分野であり、放射線発生から画像化する仕組みまでを学ぶ科目です。

診療画像機器学

生体のあらゆるレベルで放射線が生物に及ぼす所作用について学ぶ科目です。

放射線生物学

放射線治療についての基礎知識から、臨床的な専門知識を学ぶ科目です。様々な治療が行われており、それらの構造や放射線の特性について学ぶ必要があります。

放射線治療技術学

医用画像工学と医療情報学についての科目です。

医用画像情報学

放射線を計測するために必要な単語や単位などについて学ぶ科目です。

放射線計測学

電磁気学、電気工学、電子工学についての科目です。

医用工学

放射線と物質との相互作用について学ぶ科目です。放射線を業務上取り扱ったり、専門科目を学んだりする上で基礎になります。

放射線物理学

X線、CT、MRIなどの画像検査技術を用いて、疾患や損傷の診断を行う医学分野です。放射線の性質や検査技術の原理、画像解析などを学び、適切な診断や治療計画の立案に貢献します

診療画像検査学

基礎医学大要とは、医学の基本的な理論や知識を学ぶ分野です。生物学、生化学、解剖学、生理学、薬理学などが含まれ、疾患の病態生理学の理解や治療法の開発に役立ちます

基礎医学大要

X線撮影の原理や装置の操作方法、被写体の位置や撮影条件などを学ぶ医学分野です。X線画像の正確な解釈や、被写体への放射線被ばくのリスク評価、安全対策についても研究され、放射線技師や医療従事者にとって重要な知識・技術について

X線撮影技術学

医療画像の取得や解析に必要な技術を研究する学問分野です。X線、CT、MRIなどの画像検査装置の原理や、画像の品質管理や処理方法、データ解析手法などを学び、医療現場での適切な画像評価や治療計画の立案に貢献します。また、新しい画像技術の開発や応用にも関与しています。

画像工学

放射線安全管理学は、放射線による被ばくの危険性を最小限に抑えるために、放射線管理者や放射線作業者に必要な知識・技術を研究する学問分野です。放射線の基礎的な性質や被ばくの影響、放射線防護装置の使用方法、安全管理体制の構築方法などを学び、医療現場や産業現場での放射線被ばく防止に貢献します。

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