核医学検査学:シンチグラフィ
泌尿器シンチグラフィ
この記事の目次
腎静態シンチグラフィ
検査要点
腎接種率を用いた定量的分腎機能評価に用いられる。腎奇形や腎嚢胞・癌の評価に有用である。
薬品の特徴
99mTc‐DMSAが使用されている。
- 1回の循環腎抽出率は4~6%と低く経時的な腎への集積は緩除である。
- 血中投与後5~6時間まで徐々に集積を続け、尿中排泄は2時間後で8~17%と少なくなる。
前処理
脱水状態では肝臓へ集積してしまう恐れがあるためその点だけ注意する必要がある。
収集方法
薬品を148~185MBq投与後2~3時間後に撮影を開始する。
- 収集方向は仰臥位で後面像、両面斜位像(30~40度)+SPECT像。
- 低エネルギー高分解能コリメータ(LEHR)かファンビームコリメータを使用
腎動態シンチグラフィ
検査要点
分腎機能評価や治療後の経過観察や腎移植の機能評価に用いられる。
薬品の特徴
99mTc‐DTPA・99mTc‐MAG³が使用される。
- 99mTc‐DTPA
- 1回循環率が20%で、そのほとんどが腎に摂取される。
- 摂取後は糸球体より尿中にろ過されるが、尿細管での再吸収がないため理想的なGFRmakerといえる。
- 99mTc‐MAG³
- 1回循環での抽出率は60%前後で血漿蛋白との結合が90%と高いためGFRが5%と少ないため、ERPF(有効腎血漿流量)の定量評価に使用される。
- DTPAと比較すると腎機能低下症例において有効な腎抽出と尿中排泄の観察が可能である。
前処理
検査前の排尿と検査開始30~60分前に200~300mlの水分負荷を行う。
収集方法
- まずはじめに薬剤の入った注射器のカウントを測定を行っておく。
- 体内に薬品を投与し、30分間のダイナミック収集を行う。
- 残りの注射器のカウントを測定しておく。
1のカウント値から3のカウント値を引くことで薬剤の接種率を計ることができる。これは主にGFRやERPFで用いられる方法である。
- コリメータはLEHRやLEGPを使用する。
- 拡大収集を行う際は1.5~2倍で収集。
- 機能相もしくは排泄相の収集は256×256で行う。
解析方法
腎実質像にROIを設定した後、バックグラウンドを減算した値から作成したレノグラムを作成する。
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