核医学検査学:放射性医薬品について
シングルフォトン放射性医薬品について
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シングルフォトン放射性医薬品
特徴
シングルフォトン放射性医薬品とは、特定の放射性同位元素を含む化合物であり、これを体内に投与することで体内の特定の部位から放出されるガンマ線や特性X線を検出し、画像化する技術です。この際使用される放射性医薬品はβ⁻線をなるべく放出しないものを使用する。β⁻線は体内からは検出されないため、被ばく増加の原因となっているためである。
主な放射性同位元素
シングルフォトン放射性医薬品で使用される主な放射性同位元素には以下のものがある。
- テクネチウム-99m (Tc-99m):半減期が約6時間で、画像化に適したガンマ線を放出。
- ヨウ素-123 (I-123):甲状腺や脳の画像化に使用される。
- ガリウム-67 (Ga-67):感染症や腫瘍の診断に利用される。
これらの放射性同位元素は、それぞれ特定の臓器や組織に特異的に集積する性質を持っており、その特性を利用して病変部位の検出や機能評価が行われる。
ポジトロン放射性薬剤
特徴
ポジトロン放射性薬剤は、ポジトロン(陽電子)を放出する放射性同位元素を含む薬剤です。体内に投与された放射性同位元素は、特定の臓器や組織に取り込まれ、そこで崩壊してポジトロンを放出します。ポジトロンはすぐに電子と衝突して消滅し、その際に発生する2つのガンマ線を検出することで、体内の画像を構築します。
主な核種一覧
PETで使用される主な核種は以下のものがある。
- 11C:半減期(20分)・化合物(11CO₂・11Cメチオニン)
- 13N:半減期(10分)・化合物(13NO₃⁻・13NH₄⁺)
- 15O:半減期(2分)・化合物(H₂15O)
- 18F:半減期(110分)・化合物(18F⁻・18FDG)
これらの同位元素は院内サイクロトロンや薬剤合成装置によって作成される。
インビトロ放射性医薬品
特徴
インビトロ放射性薬品とは、体外での実験や分析に使用される放射性薬品を指す。これらの薬品は、生体内ではなく試験管やペトリ皿などの実験装置内で使用されるため、「インビトロ」(体外)という名称が付けられている。
主な核種一覧
- 3H:半減期(12年)
- 14C:半減期(5730年)
- 123I:半減期(60日)
上記の核種のうち123Iが最もよく使用される。123Iは非常に高い感度を持つため、微量の物質を検出することができる。これにより、極めて低濃度のホルモンや薬物を正確に測定することができる。また、生物学的にも適合しやすいため、体内での安全性が高く体外での実験でも非常に有用。半減期も60日なため測定時に半減期補正を行う必要もない。
副作用の特徴
- 核医学で使用される放射性医薬品は含まれる放射性核種の原子数が非常に少なくかつ、CT撮影やMRIで投与される造影剤量と比較しても微量しか投与しないため、重篤な副作用の出現は極稀である。しかし、妊婦に対しては原則禁忌であるため注意が必要。
- 即時反応の一つに留置針挿入の際に血管迷走神経反射による症状が発生する場合がある。軽度症状として冷感・嘔吐等の症状があるが、重症になると意識消失やけいれん発作を引き起こす可能性がある。
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