放射線治療機器:放射線治療に関する装置
治療装置
この記事の目次
直線加速器(リニアック)
リニアックとは電子を加速し、X線や電子線として照射する装置です。
モニタ線量計で出力線量を制御しており、あらかじめ設定されたMU値に達するとビームがオフになります。
モニタ線量計は密封型の線量計であり、空洞内の空気が一定の状態なため、温度気圧補正の必要がありません
リニアックの構造を以下に示します。
① 電子銃
パルスをかけて、カソード(陰極)から放出された電子がアノード(陽極)を通過して加速管に入射する。
② 加速管
銅で出来ていて、内部は真空になっている。
進行波型と定在波型がある。
-
進行波型
位相速度とともに、加速エネルギーも増加。 -
定在波型
電界強度は低く、定在波型よりも加速菅は長くなる。ドリフト管内で加速されずに、ドリフト管の間で加速される。
③ 偏向電磁石
加速された電子を偏向マグネットでベンディングし、エネルギーを均一化する。
④ イオンポンプ
電子銃、加速管、偏向(ベンディング)マグネット内のダクトを真空状態に保つために24時間イオンポンプが作動している。
⑤ マイクロ波発振菅
マグネトロンとクライストロンの違いを以下表にまとめました。
マグネトロン | クライストロン | |
---|---|---|
発振方法 | 自励管 | 増幅管 |
安定性 | 悪い | 良い |
大きさ | 小型 | 大型 |
価格 | 安価 | 高価 |
寿命 | 短い | 長い |
⑥ ターゲット
加速された電子を衝突させてX線を発生させます。材質にはタングステンや銅などが用いられます。
⑦ フラットニングフィルタ
ターゲットで発生したX線を平坦化させるために用いられます。
⑧ スキャッタリングフォイル
加速された電子を散乱させて平坦化させるために用いられます。
円形加速器
加速器とその特徴をまとめました。
- サイクロトロン
- BNCTや陽子線治療に用いる。
- Dee電極を用いて加速する。
- 半周ごとにDee加速菅の極性を変えて同じエネルギーで加速する。
- 強収束の原理を用いる。
- シンクロトロン
- 重粒子線治療で用いられる。
- 偏向電磁石と電極で構成され、電極部で加速される。
- エネルギーに応じて、磁場と電場の高周波をコントロールして加速を行う。
- 粒子を一定の円軌道に保ちながら加速する。
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カテゴリ:がん治療学
放射線治療学