放射線治療機器:照射術式
粒子線治療
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重粒子線(炭素イオン線)と陽子線(水素イオン)
粒子が停止する直前で最大になるという性質(ブラッグピーク)を利用しているため、体の表面や、正常な組織に当たる放射線の量を少なくできる。装置は入射器と主加速器に大別されている。入射器ではイオン源からイオンを取り出し、線形加速器で予備的な加速と収束を行う。主加速器では必要なエネルギーに達したときに円軌道から取り出して、ビームとして治療に用いる。治療の際リッジフィルタ(アルミ)によって拡大ブラッグピーク(SOBP)を形成し、深さ方向の照射野を決定する。照射方向ごとにボーラスとコリメータの2つを照射口にセットする。ボーラスによって深さ方向の形状を、コリメータによってビームの横方向の形状を決める。
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重粒子線(炭素イオン線)
- シンクロトロンで加速される。
- 高LET放射線で、X線・電子線の2~3倍の生物学的効果を持っている。
- エネルギーによって生物学的効果(RBE)が大きく異なる。
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陽子線(水素イオン)
- サイクロトロンで加速される。
- 陽子線の生物学的効果はX線や電子線とほぼ同じ。
- エネルギーに関係なく生物学的効果(RBE)が一定。
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)
- 低速(熱)中性子とホウ素の核反応を利用したものでヘリウム核とリチウム核によってがん細胞を攻撃する。
- ホウ素薬剤を注射し、腫瘍細胞に集積させ、そこに中性子を照射し、病巣内部に限局的な核反応を起こす。
- 正常細胞に対するダメージは通常の放射線治療より遥かに小さい
- 放射線治療後に再発したがんも適応になる場合がある。
- 浸潤性のがんや多発がん、放射線抵抗性のがんにも効果が期待できる。
- 治療期間が短い
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