放射線治療機器:出力線量の測定
測定に必要な因子
この記事の目次
SSD法とSTD法
一般的に線源標的間距離(STD)はX線、線源表面間距離(SSD)は電子線の出力線量の測定で用いられます。
TMRやTARはSTD法によって求められます。
PDDはSSD法によって求められます。
深部線量百分率(Percent Depth Dose : PDD)
ビーム軸上での基準深の吸収線量D(dr)と、任意の深さの吸収線量D(d)の比を百分率で表したものです。
PDDはSSD法で測定して求められます。
X線、γ線と電子線でのPDDの特徴をまとめました。
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X線、γ線
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物質中ではほぼ指数関数的に減弱するため、高エネルギーほと深部に到達し、PDDが大きくなる。
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照射野が大きいほど、同じ深さの深部量百分率は大きくなる。
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同じ照射野では、SSDが大きいほど、PDDが大きくなり、深部線量は小さくなる。
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電子線
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エネルギーが高くなるほど最大深が深くなる。
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飛程が短く、最大深以降の線量が急激に下がる。
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同じ照射野では、SSDが大きいほど、PDDが大きい。
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組織空中線量比(TAR)と組織最大線量比(TMR)
- TAR
SCDを一定としたときの組織空中線量比のことで、吸収体のない空中における吸収線量D(da)と水中での吸収線量D(d)との比を表したものです。
- TMR
TARはSCDを一定としたときの組織最大線量比のことで、線量D(dmax)と水中での吸収線量D(d)との比を表したものです。
TMRは放射線のエネルギーや照射野の大きさに依存します。
軸外線量比(OCR,OAR)
ある場所の線量と同じ深さのビーム軸上の深部線量の比のことです。
出力係数(OPF)
出力係数は照射野サイズによる吸収線量の変化を表すパラメータのことです。
照射ヘッド内のコリメータなどから発生する散乱線やファントム内で発生した散乱線を考慮したもので、照射野の大きさに依存します。
エネルギーによっても散乱線の発生が異なるため、出力係数も変化します。
等価照照射野
PDDやTMRは照射野の形にも依存します。
A/P法やクラークソン法、dSAR法によって求められます。
代表的で計算のしやすいA/P法の求め方を示します。
A/Pが等しい照射野は、PDDや、TMRがほとんど等しくなります。
MUの計算
MUの計算で使用する式を示します。
D : 処方線量
TMR(d,A) : 深さ(d)照射野(A)での組織最大線量比
OPFr(A) : 照射野(A)での出力係数
Fst : トレイ関数
Fw : くさび係数
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水吸収線量の測定