放射線治療機器:出力線量の測定
水吸収線量の測定
この記事の目次
標準計測法12による線量測定
モニタ線量計の感度を校正し、リニアックの出力線量を調整するために測定します。
トレーサビリティが確率されている外部線量計で水ファントムを用いて、1MUが基準深で1cGy になるように校正します。
校正深で測定し、TMRを用いて基準深(線量最大深)での線量を計算によって求めていきます。
基準深で測定せずに校正深で測定する理由は以下の2つがあります。
- リニアックのヘッド内で発生する散乱線の影響を抑えられ、出力された線量でのみ評価することができるため。
- ビルドアップの影響を受けないようにするため。
X線の線質変換係数はTPR20.10と線量計で決定します。
電子線の線質指標R50はI50(深部電離量半価深)で決定し、深部線量百分率には水/空気平均制限衝突阻止能比が必要になります。
X線 | 電子線 | |
---|---|---|
線量計 | ファーマ形電離箱線量計 | 平行平板型電離箱線量 |
電離箱の基準点 | 円筒幾何学的中心 | 空洞前壁 |
照射野 | 10 ×10 cm | 10 ×10 cm |
校正深 | 10cm-2 | 0.6R50-0.1gcm-2 |
線質指標 | TPR20.10法 | R50法 |
各種補正係数
電離箱線量計の電離量を補正するための係数をまとめました。
-
温度気圧補正係数
空気の密度が温度や気圧によって変化するため、それらを補正するための係数で以下の式より求められます。
T : 温度 (℃)
P : 気圧 (kPa)
上記式より、温度が高く、気圧が低いほど補正係数は大きくなります。
温度が低く、気圧が高いほど補正係数は小さくなる。 -
極性効果補正係数
極性にかけられる電圧が正か負によってイオンの収集効率が異なることを補正するための係数です。
電子と正イオンとでは大きさが異なるため、収集できる効率が違ってきます。 -
イオン再結合補正
電離されたイオン対は電極へ収集される途中で再結合を起こします。
その数え落としを補正するための係数です。
2点電圧法や、Boagの式によって求められます。 -
水吸収線量校正定数
校正された各線量計に与えられる定数です。
60Coのγ線によって校正されます。 -
線質変換係数
基準線質(60Coのγ線)に対応した水吸収線量校正定数を、自施設の線質に対応した水吸収線量校正定数に変換するための係数です。
次のレッスンへ
カテゴリ:照射術式
照射方法
前のレッスンへ
カテゴリ:出力線量の測定
測定に必要な因子