放射線計測学:計測の基礎理論
測定値の処理
この記事の目次
測定値の処理
標準偏差の計算
計数の標準偏差
計数をn(カウント)とする
n±√n
計数率の標準偏差
計数をn(カウント)、測定時間をt(s)とする
n/t±√n/t → n/t±√(n/t2) または n/t±√(n/t/t)
⇒計数率±√(計数率/測定時間)
標準偏差の四則演算
ある測定値をx,y、その標準偏差をδx,δyとする
- 和 (x+y)±√(δx2+δy2)
- 差 (x-y)±√(δx2+δy2)
- 積 xy±xy√{(δx/x)2+(δy/y)2}
- 商 x/y±x/y√{(δx/x)2+(δy/y)2}
自然計数を差し引く時の標準偏差
試料の測定値Nと測定時間tおよびバックグラウンドの測定値Nbと測定時間tbが与えられているときの正味の計数率と標準偏差
(N/t-Nb/tb)±√{(N/t/t)+(Nb/tb/tb)}
⇒計数率-BGの計数率±√{(計数率/測定時間)+(BGの計数率/BGの測定時間)}
試料とバックグラウンドの測定時間の適正配分
試料の計数率をns、測定時間をtsとし、バックグラウンドの計数率をnb、測定時間をtbとする
tb/ts=√(nb/ns)
ts+tb=ttotal
例)1分測定した時、ns+nb=1600、nb=100となった。全測定時間30分のとき適切な時間配分は?
tb/ts=√(100/1600)=1/4
\begin{align}
\begin{cases}
t_s&=4t_b \
t_s+t_b&=30
\end{cases}
\end{align}このことからts=24分、tb=6分となる
標準誤差
標準誤差:複数回繰り返し測定した場合の平均値の標準偏差
測定回数をN(回)、平均の平均値Xとする
X±√X/√N ⇒ X±√(X/N)
例)測定を4回行い、平均の平均値が100の時
100±√(100/4)=100±√5
時定数から標準偏差を求める
時定数τ、測定値nとする
標準偏差σ=√(n/2τ)
相対標準偏差σ=1/√2τn
GM計数管における分解時間による数え落としの補正
真の計数率n0(cps)、測定計数率n(cps)、分解時間τ(s)とする
数え落としの割合
(n0-n)/n0=nτ
真の計数率
n0=n/(1-nτ)
真の計数率から実測計数率を求める
n=n0/(1-n0τ)