放射線計測学:放射線検出器
その他の検出器
この記事の目次
放射線検出器 -その他の検出器-
着色作用を利用した検出器
写真乳剤
- X線・γ線、荷電粒子線や中性子線の検出が可能
- 個人被ばく線量計としてフィルムバッジがある
- 現像まで長い時間が空くとフェーディング(退行現象)によって黒化度が低下する
- エネルギー依存性が大きい
- カブリ現象により不正確な記録になることがあるため、温度や湿度に注意が必要
ラジオクロミックフィルム
- 人体の軟部組織に近い元素を用いたフィルム
- 放射線の照射量に応じて青色に着色される
- 現像作業は行わない
- 繰り返し読み取りが可能
- 保存温度により感度が変化する
- 再使用が不可能
- X線フィルムとラジオクロミックフィルムの比較
X線フィルム | ラジオクロミックフィルム | |
---|---|---|
現像処理 | 必要 | 不要 |
明屋での使用 | 不可能 | 可能 |
空間分解能 | 高い | 高い |
エネルギー依存性 | 大きい | 小さい |
測定可能な線量範囲 | 0.1mGy~100Gy | 10mGy~100Gy |
化学作用を利用した検出器
化学線量計
- 吸収線量の絶対測定に用いられる
- 高線量の測定に用いられ、個人被ばく線量計に使われることはない
フリッケ線量計(鉄線量計)
- 酸化反応を利用(第一鉄イオン(Fe2+)から第二鉄イオン(Fe3+)へ酸化)
- G値:15.5[100eV-1](G値は線量率に依存しないが、酸素濃度により変化する)
- 光を照射して分光光度計で吸光度を測定する
セリウム線量計
- 還元反応を利用(第二セリウムイオン(Ce4+)から第一セリウムイオン(Ce3+へ還元)
- G値:2.34[100eV-1](G値は線量率に依存せず、酸素濃度により変化しない)
- 光を照射して分光光度計で吸光度を測定する
飛跡を利用した検出器
固体飛跡検出器(CR-39)
- エッチピットの形と大きさから入社荷電粒子の種類やエネルギーを同定可能
- 原理的に光子線(X線・γ線)には反応しない
- 小型化可能
- 電磁場に影響されない
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