放射線化学:元素・核種
放射性核種製造について
この記事の目次
放射性核種の製造
核分裂
重い原子核が同程度の大きさの二つ以上の原子核に分裂する現象
中性子核分裂
以下に熱中性子による235Uの核分裂の分布を示す。
図から95と140付近の質量数で分裂する確率が最も高いことがわかる。
自発核分裂
ウラン等の超重核がクローン障壁が液滴を超えることで自然的に核分裂する現象。
- α改変と分岐壊変する
- 半減期が長い
自発核分裂の半減期が最も短い252Cfは中性子源として使用されている。
誘導核分裂
自発核分裂に対して中性子等の入射粒子によるエネルギーや衝撃を原子核に与えるよっておこる核分裂。
原子炉生成核種
主な原子炉生成各種を以下に示す。
生成各種 継続する反応 壊変後核種
32P β-壊変 32S
77Ge 77As
99Mo 99mTc
131Te 131I
199Pt 199Au
51Cr EC壊変 52V
131Ba 131Au
図より生成核種はβ-壊変を起こしやすいことがわかる。これは、分離や製造の段階で中性子果過剰の不安定な状態になるためである。
安定核種を中性子による核反応で生成する場合と、核分裂による生成核種を分離して利用する場合がある。
核反応
原子核に対して中性子・陽子・α粒子等を衝突させて反応を起こすこと。
核反応の種類には弾性散乱・非弾性散乱・核変換などがある。
図のような核反応は簡易的にA(α、b)Bと表記される。
中性子核反応
中性子が原子核に衝突・吸収されると励起状態になる。この励起状態のエネルギーが小さい場合、中性子捕獲反応(n,γ)が起こり、γ線を放出する。中性子を吸収した原子は質量数は1増加し、原子番号は変化しない。逆に励起状態のエネルギーが大きい場合、(n,α)・(n,p)のような核反応が発生する。
サイクロトロン生成核種
核医学で用いられる放射性核種は主にサイクロトロンという粒子加速器が用いられている。
サイクロトロン生成核種一覧:11C,13N,15O,18F,68Ge,67Ga,201Tl,111In,123I
ジェネレーター
ジェネレーターとは放射平衡の原理を利用して親核種から娘核種を分離するシステム。
代表として99Mo-99mTcジェネレーターがある。
- 親核種99Moをアルミナに吸着させ、カラムに充填する。
- 生理食塩水を通して99mTcO4-として溶出させる。
- 溶出後は再度99mTcを生成し、23時間程で最大放射能を示す。
99Mo-99mTcの放射平衡が成り立つのは72時間後である。
以上の作業をミルキングといい、親核種が存在する限り繰り返し娘核種を溶出させることができる。
ジェネレーターの交換時期:溶出できる娘核種の濃度が診断に影響を及ぼすレベルで交換。
次のレッスンへ
カテゴリ:放射性核種の利用
放射化学純度・分離
前のレッスンへ
カテゴリ:元素・核種
元素の性質・放射性核種について