放射線化学:元素・核種
元素の性質・放射性核種について
この記事の目次
元素の性質
1.分子:物質の化学的性質を有する最小単位
2.原子:正電荷を有する原子核(直径10-15m)と負電荷を有する電子殻(直径-10m)で構成
3.原子核:陽子と中性子で構成。密度は1014g/cm3。また、原子核の半径は以下の式で表される。
r=r₀・A1/3 r₀:定数で(1.2~1.5)・10-15m
4.質量数:陽子数と中性子数の和。また、陽子と中性子は体積の差がほとんど無いことから、質量数は原子核の体積に比例する。
放射性核種
核種の種類
1.核種:陽子数・中性子数・エネルギー状態で決められる原子核の種類。
2.同位体:原子番号が同じで、質量数(陽子数+中性子数)が異なる各種。化学的性質は同じ。
3.放射性同位体:放射線を放出して短時間で別各種へ壊変する同位体。
4.安定同位体:放射線を放出せず、安定のままとどまる同位体。
5.同重体:陽子数は異なるが、質量数が同じ核種。化学的性質は異なる。
6.同中性子体:陽子数は異なるが、中性子数が同じ各種。化学的性質は異なる。
7.核異性体:陽子数・中性子数は同じだが、核内のエネルギー状態が異なる状態の核種で、励起状態の寿命が0.01秒以上ある。励起状態から基底状態への変化を核異性体転移(IT)という。
- 天然放射性生核種:自然界に存在する放射影核種であり、次の4つに分類。
- 一次放射性核種
- 二次放射性核種
- 誘導放射性核種
- 消滅放射性核種
- 一次放射性核種:地球誕生時から存在する核種
この内、壊変系列をつくる核種は238U・235U・232Th。つくらない核種は40K・87Rb等
232Th:トリウム系列4n α壊変:6回 β-壊変:4回 最終生成核種:208Pb
238U :ウラン系列4n+2 α壊変:8回 β-壊変:6回 最終生成核種:206Pb
235U :アクチニウム系列4n+3 α壊変:7回 β-壊変:4回 最終生成核種:207Pb
- 二次放射性核種:一次放射性核種の壊変生成物
- 誘導放射性核種:自然界で起こる核反応により生成する核種
大気中で生成する核種:3H・14C
鉱物資源中に生成する核種:ウラン鉱物 237Np・239Pu・トリウム鉱物 233U - 消滅放射性核種:地球誕生時には存在したが、現存しない核種で237Npが該当する。
過渡平衡
親核種の半減期T1と娘核種の半減期T2に差があまり無い場合、時間が経過するにつれて親核種と娘核種の原子数比が一定になり、娘核種が見かけ上は親核種と同一の半減期で壊変する状態。
過渡平衡の条件:親核種の半減期T1と娘核種T2の関係 T1>T2
親核種の壊変定数λ1と娘核種の壊変定数λ2の関係 λ1<λ2
親核種の個数N1と娘核種N2の関係式
親核種の放射能A1と娘核種A2の関係式
過渡平衡のグラフ:娘核種は見かけ上親核種と同一の半減期で壊変する。
永続平衡
親核種の半減期T1が娘核種の半減期T2を大きく上回る場合、時間が経過するにつれて親・娘核種の放射能は等しくなる状態。
永続平衡の条件:親核種の半減期T1と娘核種T2の関係 T1>T2
親核種の壊変定数λ1と娘核種の壊変定数λ2の関係 λ1<λ2
永続平衡のときの親核種の放射能A1と娘核種A2の関係式 A1=A2
永続平衡のグラフ:
半減期
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カテゴリ:元素・核種
放射性核種製造について