診療画像機器:診断用X線装置および関連機器
X線映像システム
この記事の目次
X線装置システム
一般X線装置
胸部・腹部等のレントゲン撮影を行う単純X線撮影用のシステムを指す。立位・臥位の撮影台の2パターンが一般的であり、x線発生装置・IP・FPD・増感紙‐フィルムカセッテ等のシステムが主なシステム構成である。
透視装置
IIやFPDを用いてX線透視下で動画撮影を行う装置を指す。透視装置はX線管球の装着位置で以下の種類に分かれる。
- オーバーテーブルX線管形:X線管球が天板上部に配置された装置。被験者とX線管との距離が十分にとれるため、検査や治療等の手技を行いやすい。また、被験者の観察やポジショニングの変更を行いやすい。
- アンダーテーブルx線管形:天板の下にX線管球が配置された装置。検出器と被写体を密着できることから画像の解像度が高く、検出器ー被写体間距離を自由に変えれるため、拡大撮影を簡易的に行える。また、オーバーテーブルに比べて術者の被爆が少ない。
断層撮影装置
直接撮影において目的断面以外の像を幾何学的にぼかすことで特定位置のみのx線像を取得するための装置。以下に装置の種類を示す。
- 直線軌道断層装置:主に胸部撮影に用いられ、直線・単一円弧軌道を描いて撮影。
- 多軌道断層装置:主に骨・縦郭の撮影に用いられ、直線・円・渦巻軌道を描いて撮影。
- 同時多層断層装置:多層カセッテにより一度で複数枚の断層撮影を行う。
- トモシンセシス:FPD搭載の乳房用X線装置・一般撮影装置・透視装置に用いられ、一回のX線照射で複数の断層撮影を行う。照射角度は10~50度程度で、投影データを30~150のビュー枚数で保存できる。画像再構成の種類は以下の3つに分類される。
- フィルタ補正逆投影法:再構成時間は逐次近似法に比べて短く、障害陰影が抑制された画像を出力できる。
- 逐次近似法:再構成時間は長いが金属アーチファクトを低減でき、低線量での撮影が可能。
- シフト加算法:入射角度を変えながら撮影された画像に対して、各画像に対して走査方法を適宣シフトして重ねることで特定の断層像に焦点を合わせた断層像を取得できる。再構成時間は短いが、高吸収体によるアーチファクトの影響が大きい。
循環器用x線装置
血管の狭窄・閉塞等の患部を造影剤等を使用することで動態撮影を行う撮影装置や治療を行うIVR装置を指す。大別して以下の2種類に分かれる。
- 心血管用X線装置:心臓の収縮動態や冠状動脈の狭窄・閉塞等の患部の動態撮影を行う撮影装置や治療を行うIVR装置を指す。
装置構成はCアームやUアーム・LアームにX線管と検出器を対向配置されており、検出器には主にFPDが主に採用され、X線動画撮影やシネカメラを用いたシネ撮影(30~60f/s)を行うことができる。
装置構成の種類としてバイプレーン装置がある。Cアームを2つ使用して交互にX線を照射することで同時2方向撮影を行え、検査時間の短縮や造影剤量を減量できる特徴がある。 - 頭・腹部血管用X線装置:全身の血管撮影に用いられる。
全身を対象部位として撮影するため大口径I.IやFPDを用いた血管造影を行う。特に頭部や腹部の血管造影は高速フィルムチェンジャーを用いた連続撮影を行う。
乳房用X線撮影装置
マンモグラフィともいう。乳房は乳腺と脂肪組織で構成されており、これらの軟部組織にコントラストをつけるため、25~35kVの管電圧を用いて撮影を行う。以下に乳房用X線撮影装置の特性を示す。
- ターゲットとフィルタについて
★表挿入
表より、Mo(モリブデン)・Rh(ロジウム)・W(タングステン)を用い、各固有の特性X線を放出する。また、これらの特性X線を有効活用するためにMoやRh等の付加フィルタを用いることで特性X線を選択的に取り出すことができる。この付加フィルタにより低エネルギーX線成分と高エネルギーX線成分を吸収させるいことで、被爆低減と画質改善を両立させている。 - 圧迫版:X線吸収が少なく、破損しにくい素材で作られており、PC(ポリカーボネート)で作られている。
- X線管球位置:乳房撮影では胸壁から乳頭までの範囲で被写体厚が異なるため、ヒール効果を有効的に活用している。陰極側を被検者に向けて設置しており、胸壁側の厚い部分で強度の高いX線を使用し、乳頭側で強度の低いX線を使用することで写真濃度を均一にしている。
- 管電圧:軟部組織を抽出するために、25~35kVの電圧を使用する。最高管電圧は60~80kVに制限される。
- X線管焦点:0.1~0.3mmまた、実効焦点を小さくためにターゲット角度を小さくしている。ターゲット角度を小さくするためにX線管軸を5~6度傾けて設置している。
- 焦点―受像器間距離(SID):65㎝
- X線検出部:運動グリッド(低格子比:3:1~5:1)とAECが装着
可搬型X線撮影装置
X線装置本に車輪を装着し、携帯移動できるように自走式にしたもので、撮影室まで来れない状態の患者の病室撮影に使用される。インバータ装置による小型・軽量化に加え、X線出力の安定化と高出力化が図られている。また、透視が可能な移動型X線テレビ装置もありオペ室で用いられる。一般的にCアームにX線管とIIを設置した構造で、被写体に対して任意の方向から透視を行うことが可能。
骨密度測定装置
骨粗鬆症による骨折リスクの判定や抗がん剤などの薬物投与による骨変化の診断に用いられる。被写体にX線を照射しその透過量から生体内の骨密度を測定する。以下に測定装置の種類を以下に示す。
- MD法:中手骨の画像解析に用いられる。手の横にアルミ階段を置いて撮影し、画像の濃淡差を解析して骨塩量に換算し、定量を行う。
- SXA法(単一エネルギーX線吸収法):橈骨・踵骨の測定に用いられる。単一エネルギーx線を照射して定量を行う方法。
- QCT法(定量的CT法):腰椎の測定に用いられる。CTによって腰椎と校正ファントムを同時に撮影し、CT値から骨塩量に換算し、定量を行う。
- DXA法(2重エネルギーX線吸収法):骨密度測定装置のうち最も普及している方法で、高低2種類のエネルギーのX線吸収により、骨と軟部組織を識別して定量する。また、DXA法はX線回折法・Kエッジフィルタ法・管電圧切換法の3種類があり、特にX線回折法・Kエッジフィルタ法は全身DXAに用いらる。
歯科用X線撮影装置
口内法用撮影装置
デンタル撮影とも言い、X線管と高電圧変圧器が一体化したモノタンク構造の装置で照射口にAlフィルタと照射筒が装着されており、アームの先端に取り付けられている。目的の歯の裏側に小型フィルムを保持させた状態でX線を照射して撮影する。管電流は10mA前後・管電圧は60~70kVで撮影される。
パノラマ撮影装置
全歯牙を1枚の画像として撮影する方法。以下の2種類に分類される。
- パナグラフィ:上顎・下顎の外周にフィルムを設置し、口腔内に体腔用X線管を挿入して曝射する方法。
- オルソパントモグラフィ:X線管と検出器を対向させた間に被写体を挟み、スリット状のX線を照射しながら回転させて撮影。検出器の移動一致する歯列の断層面のみが画像化されるしくみとなっている。
セファロ撮影装置
歯列矯正の計測や経過観察に用いられる頭部X線規格撮影装置でX線管焦点ー外耳孔中心距離を150㎝、外耳孔中心ー受像器間距が15㎝の10:1で規格化されており、拡大率は1.1倍となっている。
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カテゴリ:X線診断装置以外の診断装置
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