診療画像機器:画像・映像処理及び出力装置
X線映像装置
この記事の目次
X線映像装置
I.I(イメージインテンシファイア)
構造・原理
I.I(イメージインテンシファイア)は図のような真空管の構造をしており、以下にその基本動作を示す。
・構造
入力窓:加工の難易度や真空管容器の適正度の観点から3~5mm程度のほうけい酸ガラスが使われていたが、現在では画質構造のためアルミニウムやチタン等の金属が使われている。
入力蛍光面:CsI:Na(微細柱状構造)が採用されている。以下にこの素材の特性を示す。
1.X線吸収率や変換効率が高い(空間充填率が100%なため)
2.微細柱状構造による蛍光面の厚膜化(400µm)。これによりX線-光変換効率が向上している。
入力面基盤:入力面寸法D。cm単位で表示されている。
光電電極:蛍光を光電子に変換
出力蛍光面:(Zn,Cd)S:Agが採用。この蛍光体層が厚いほど高感度になるためX線-光変換効率が向上するメリットがある。しかし、光拡散によるボケが増加するため空間分解能が増加するデメリットがある。
・基本動作
- 被写体を透過したX線が入力蛍光面に入射することで蛍光像が形成される
- 入力蛍光面に接する光電面から蛍光像の強度に比例した光電子が放出。
- 集束電極・陽極により25~30kvの力で光電子を加速・集束させる。
- 高速光電子が出力蛍光面に衝突し、明るい蛍光像を形成。
- X線画像をリアルタイムで可視光として出力。
出力蛍光面の輝度は(像の拡大率の逆数)2×陽極電圧に比例するため、数万倍の輝度増幅が得られる。
また、出力輝度は視野が狭いほど暗くなる。入力視野を大きくすると、出力輝度は高くなるが周辺ひずみがおおきくなり、解像度も低くなるデメリットがある。
像の拡大率は入力面寸法Dに対する出力像寸法dの比で表される。(M=d/D)
よってM<1となるため。拡大率は1より小さくなる。
I.Iの種類:単一視野・可変視野の2種類
可変視野は集束電極の電圧を変化させて入力視野の大きさを変更。
特性
変換係数Gx:入射X線おどれだけ効率よく変換できるか。誤差は±15%。
Gx=L/K L:出力蛍光面の平均輝度(cd/m2) K:入射X線の線量(空気カーマ)率(µGy/s)
解像度:解像力チャートで見分けうる限界本数(Lp/mm)
輝度分布:中心部に対する周辺部の輝度比(60~90%)
コントラスト比Cr:入射X線の有無における出力蛍光面の輝度比
量子検出効率DQE:入射X線量子を出力像に伝える能力を評価。
DQE=(出力のS/N比/入力のS/N)2×100(%)
X線間接ミラーカメラ
構造・原理
ミラーカメラは被写体を透過したX線が蛍光版により可視光に変換される。変換された蛍光像はミラーレンズによって縮小され、フィルム縮写する。
- 直フード型:フード内でX線進行方向上にミラーレンズを配置した構造
- 曲フード型:フード内を90度屈曲させた構造
上記のフードの構造は外部から光が入らない構造となっており、特に曲フード型は検診車両等の小スペースの設置に採用されている。
蛍光版:Gd2O2S:Tbが用いられている。
特性
蛍光体に希土類蛍光体が使用されたことや蛍光体層を薄くしたことにより、感度が高く画質の向上や被爆の低減化などが見られた。
X線テレビカメラ
構造・原理
以下にX線テレビカメラの構造を示す
部品構成
- I.I:被写体を透過したX線像を可視光へ変換する
- タンデムレンズ:I.Iからの可視光を調節してCCDカメラへ入力する
- CCDカメラ:可視光を電気信号へ変換
- 映像回路:電気信号から映像へと変換する処理を行う
- モニタ:映像信号から動画を表示する
特性
X線テレビカメラにはデジタル信号を出力できるCCDカメラを使用したものとアナログ信号を出力する撮像管を使用したものに大別されており、以下にその性能比較を示す。
★図を挿★入
液晶モニタ(LCD)
構造・動作 教科書P121
部品構成:偏光フィルタ・ガラス基板・透明電極・配向膜・液晶層・カラーフィルタ・TFT素子
★図を挿★入
- 光源から発するバックライトにより画面を明るく見せる
- 偏光フィルタによって、フィルタ対して直交する光成分のみを透過させ、輝度を調節する。
- ガラス基板によって電極部からの電気漏洩を防ぐ
- 透明電極によって液晶ディスプレイに電圧を印可する
- 配向膜によって液晶分子を一定方向に並べる
- 液晶層で透明電極に電圧を印可することで液晶分子配列を変化させる
- カラーフィルタのよって各画素にRGB(三元色:RED,GREEN,BLUE)のフィルタをかける
- TFT素子によって各画素の電極に電圧を与える
精度管理
特性
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