放射線生物学:放射線作用の過程
物理学的過程
この記事の目次
電磁波
線エネルギー付与(LET)
放射線の線質を表す量
・低LET放射線 X線、γ線、β線、電子線、陽子線
・高LET放射線 α線、中性子線、重イオン線
○ 代表的なLET値
放射線 | LET(keV/µm) |
---|---|
⁶⁰Co | 0.2 |
250kV X線 | 2.0 |
10MeV 陽子線 | 4.7 |
150MeV 陽子線 | 0.5 |
2.5MeV α線 | 166 |
2GeV 鉄イオン線 | 1000 |
LETと酸素増感比(OER)および生物学的効果比(RBE)
酸素増感比(OER)
無酸素下である生物効果を生じさせる放射線の線量
無酸素下と同じ生物効果を酸素下で生じさせる線量
生物学的効果比(RBE)
ある生物効果を起こす基準となる放射線の線量
同じ生物効果を起こす当該放射線の量
低LET放射線 | 高LET放射線 | |
---|---|---|
OER | 大 | 小 |
RBE | 小 | 100keV/µmまで大、それ以降は小 |
ブラッグピーク
一定の深さで多くの電離が生じ、最大の放射線吸収量となる→放射線治療に有効
・ブラッグピークを持つ放射線
→陽子線、重イオン線、π中間子
線量単位
・照射線量[C/kg]
単位空気あたりに生じるイオン対で表された放射線量
・吸収線量[Gy]
放射線が物質に与えた、質量に対する平均エネルギー
・等価線量[Sv]
吸収線量に、放射線加重係数を考慮した線量
・実効線量[Sv]
等価線量に、組織・臓器の組織加重係数を考慮した線量
放射線 | 放射線加重係数 |
---|---|
光子 | 1 |
電子、ミュー中間子 | 1 |
陽子、電荷π中間子 | 2 |
α粒子、核分裂片、重イオン | 20 |
中性子 | 中性子エネルギーの連続関数(2.5~20) |
組織・臓器 | 組織加重係数 |
---|---|
赤色骨髄、大腸、肺、胃、乳房、残りの組織まとめて | 0.12 |
生殖腺 | 0.08 |
膀胱、食道、胆、甲状腺 | 0.04 |
骨表面、脳、唾液腺、皮膚 | 0.01 |
次のレッスンへ
カテゴリ:放射線作用の過程
化学的過程・生物学的過程